UK、日本、シリア、US……小野島大が選ぶ、世界各地の刺激的なソロアーティストによる新譜

 ちょっと前の発売になりますが、京都在住の有村崚によるプロジェクトin the blue shirtのファースト・アルバム『Sensation of Blueness』(TREKKIE TRAX)。元はチル・ウエイヴ的なベッドルーム・ミュージックをやっていたそうですが、やがてダンス・ミュージックに移行、本作はおもちゃ箱のような奔放なカットアップ・コラージュとキッチュなポップ・センスが光る才気煥発の一作です。

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 ビョークも絶賛したシリアの怪人オマール・ソレイマンと長年活動を共にするライザン・セッド(Rizan Said)のソロ・アルバム『King Of Keyboard』(ANNIHAYA)。中東の祭事音楽ダブケを電子化したエレクトロ・ダブケの第一人者で、辺境音楽マニアにはたまらないディープでサイケデリックでレフトフィールドなトライバル・ダンス・ミュージック。ありきたりな西欧発のポップ・ミュージックにはない荒々しくエネルギッシュなグルーヴが最高です。

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ライザン・セッド「High Tension Zamer」

 8年前、2000年代以降の日本のオルタナティヴなポップ・ミュージック史上に残る名曲「日没サスペンディッド」を生んだ名コンビ、Eccyとあるぱちかぶとが再びタッグを組んだのがEccyのニュー・シングル『Lonely Planet feat.あるぱちかぶと』
(KiliKiliVilla)。Eccyの作り出す、どこか日本的なノスタルジーとヨーロッパ的な洗練されたメランコリーが同居する優美で叙情的なトラックと、あるぱちかぶとの繊細で文学的なリリック、エモーショナルで中性的なラップが融合した唯一無二の美しい世界を展開しています。この曲をフィーチュアしたEccyのアルバムも完成間近とのこと。非常に楽しみです。

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Eccy「Lonely Planet feat.あるぱちかぶと」

ではまた来月。

■小野島大
音楽評論家。 時々DJ。『ミュージック・マガジン』『ロッキング・オン』『ロッキング・オン・ジャパン』『MUSICA』『ナタリー』『週刊SPA』などに執筆。著編書に『ロックがわかる超名盤100』(音楽之友社)、『NEWSWAVEと、その時代』(エイベックス)、『フィッシュマンズ全書』(小学館)『音楽配信はどこに向かう?』(インプレス)など。facebookTwitter

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