ONE OK ROCK『Ambitions』は衝撃的な挑戦作だ! 国内外シーンに与える影響を読む

ワンオク新作は衝撃的な“挑戦作”だ

 これまで外部のプロデューサーと一緒に制作を進めてきたONE OK ROCKだが、最新作でアルバム制作の舵を取ったのはTaka自身。これも新作での大胆なシフトチェンジがスムーズに進んだ要因だろう。Takaの中に確たる新たな道標が見えていたからこそ、迷いなくここにたどり着くことができたのだ。その結果、国内のエモ/ラウドシーンを見渡しても類似したサウンドが見当たらない、唯一無二の作品を作り上げることに成功した。このアルバムが2017年のスタートと同時にドロップされるのは、それくらい衝撃的な出来事なのだ。

 アルバムの中にはアヴリル・ラヴィーンや盟友ファイヴ・セカンズ・オブ・サマーをフィーチャリングゲストとして迎えた楽曲(「Listen (featuring Avril Lavigne)」「Take what you want (featuring 5 Seconds of Summer)」も収録されているが、これだけ個性の強いゲストが参加してもONE OK ROCKの個性がブレることはない。むしろこのアルバムの肝はそこではなく、先行公開された「Taking Off」「Bedroom Warfare」「I was King」のような楽曲なのだ。

 そして、今作では日本向けと海外向けの2仕様がそれぞれ用意され、海外向けアルバムではすべて英語詞で歌われているのだが、実は国内向けアルバムの歌詞も“ほぼ英語詞”と言い切ってしまいたくなるほど英語詞の占める比率が高い。アルバムのブックレットを開いて歌詞を見ればわかるはずだが、どの曲も日本語詞はほんの数行程度。歌詞を見ないでアルバムを聴いても、ずっと英語で歌われている中、突如日本語のフレーズが飛び出してドキッとさせられることのほうが多いくらいだ。実はこの歌詞の表現方法も、サウンド面同様に新たなチャレンジと言える。英語詞メインで歌う中、特に強く伝えたいパートを日本語で伝える。非常にリスキーなやり方だが、デビューから10年を経たONE OK ROCKがさらにここからの10年を戦っていくためには必要なチャレンジなのかもしれない。

 地道な海外ツアーを重ねることで、その実力を各地でアピールし続けたONE OK ROCK。彼らが歩んできたこの10年は、変化と進化の歴史でもある。昨年9月に開催された静岡・渚園特設会場での野外単独ライブ『ONE OK ROCK 2016 SPECIAL LIVE IN NAGISAEN』で、彼らはその変遷をダイレクトに伝えてくれた(参照:ONE OK ROCK、2日で11万人動員ライブも通過点に 熱狂の渚園ライブをレポート)。あのライブがこれまでの活動に対する集大成とは言わないが、今回のニューアルバムを聴くとあそこでひと区切りを付け、再びここから新たな道を切り開こうとする強い意思が感じられるのだ。果たしてこの意欲作が国内のロックファンにどう受け入れられるのか、そして海外のロックファンはライブパフォーマンスに続いてこのサウンドも支持するのか。結果はすぐには出ないかもしれないが、アルバムリリース後に行われるであろう国内外でのツアーを通じて見えてくることだろう。

■西廣智一(にしびろともかず) Twitter
音楽系ライター。2006年よりライターとしての活動を開始し、「ナタリー」の立ち上げに参加する。2014年12月からフリーランスとなり、WEBや雑誌でインタビューやコラム、ディスクレビューを執筆。乃木坂46からオジー・オズボーンまで、インタビューしたアーティストは多岐にわたる。

「WORLD AMBITIONS」 URL

■リリース情報
ONE OK ROCK『Ambitions』
発売日:2017年1月11日(水)
初回限定盤(DVD付):¥3,500+税
通常盤:¥3,000+税

<収録曲>
1.Ambitions - Introduction –
2.Bombs away
3.Taking Off ※映画「ミュージアム」主題歌
4.We are
5.20/20
6.Always coming back ※NTTドコモ「感情のすべて/仲間」編CMソング
7.Bedroom Warfare
8.Lost in Tonight
9.I was King
10.Listen(featuring Avril Lavigne)
11.One Way Ticket
12.Bon Voyage
13.Start Again
14.Take what you want(featuring 5 Seconds Of Summer)

※初回限定盤DVD収録内容
Studio Jam Session Vol.3「We are」「Bombs away」

iTunes アルバムプレオーダーURL

■ツアー情報
『ONE OK ROCK 2017 "Ambitions” JAPAN TOUR』
2月18日(土)静岡エコパアリーナ
2月19日(日)静岡エコパアリーナ
2月22日(水)和歌山ビッグホエール
2月25日(土)大阪城ホール
2月26日(日)大阪城ホール
3月4日(土)宮城セキスイハイムスーパーアリーナ
3月5日(日)宮城セキスイハイムスーパーアリーナ
3月8日(水)アスティとくしま
3月9日(木)アスティとくしま
3月14日(火)日本ガイシホール
3月15日(水)日本ガイシホール
3月18日(土)神戸ワールド記念ホール
3月19日(日)神戸ワールド記念ホール
3月25日(土)さいたまスーパーアリーナ
3月26日(日)さいたまスーパーアリーナ
3月31日(金)朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンター
4月1日(土)朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンター
4月8日(土)幕張メッセ国際展示場9・10・11ホール
4月9日(日)幕張メッセ国際展示場9・10・11ホール
4月15日(土)真駒内セキスイハイムアイスアリーナ
4月16日(日)真駒内セキスイハイムアイスアリーナ
4月20日(木)横浜アリーナ
4月22日(土)横浜アリーナ
4月23日(日)横浜アリーナ
4月29日(土)マリンメッセ福岡
4月30日(日)マリンメッセ福岡
5月4日(木)沖縄コンベンションセンター
5月5日(金)沖縄コンベンションセンター
5月11日(木)熊本 B.9 V1
5月12日(金)熊本 B.9 V1
5月16日(火)広島 グリーンアリーナ
5月17日(水)広島 グリーンアリーナ
※熊本公演を除くアリーナツアー各公演にて1アーティストのスペシャルゲストの出演あり

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