Hi-STANDARD、Shout it Out、岡崎体育……彼らは新作でターニングポイントをどう越えた?

 今年7月にシングル『青春のすべて』でメジャーデビュー、その2カ月後にベーシストとギタリストが脱退するという事態に見舞われたShout it Out。山内彰馬(Vo&G)、細川千弘(Dr)はふたり体制でバンドを継続することを即断、細川の実兄(Ba)など身近な仲間をサポートミュージシャンに迎え入れ、新作『これからと夢』のリリースに辿り着いた。リードトラック「DAYS」は、バンドを続けるんだという強い決意を込めた<終わらない夢をいつまでも見よう>というリリックが心に響くロックチューン。シンプルで真っ直ぐなサウンド、力強さと濃密なエモーションを同時に感じさせてくれる山内のボーカルを含め、再出発にふさわしい楽曲に仕上がっている。どんな状況にブチ当たっても、自らの意志を貫き、それを楽曲そのものに反映させる。そのアティチュード自体に感動してしまう。

Shout it Out「DAYS」

 “ミュージックビデオあるある”をテーマにした「MUSIC VIDEO」のミュージックビデオのYouTube再生回数が1400万回を突破、メジャーデビューアルバム『BASIN TECHNO』がオリコンチャート9位、iTunesのJ-POPチャートで1位を記録するなど、今年、一気にブレイクした岡崎体育。口パクをカミングアウトする「Explain」などおもしろネタが優先した印象もあるが、彼の本質は優れたポップス・クリエイターだ。それを証明する最初の一歩が1stシングル曲「潮騒」であり、これも一つのターニングポイント作と言えるだろう。TVアニメ『舟を編む』(フジテレビ系)のオープニング・テーマとして制作されたこの曲は、キラキラとした光を感じさせるトラックと切ないメロディが融合したアッパーチューン。『舟を編む』の主人公と相棒の性格を対比させながら“言葉を紡ぐこと=(歌詞を書くこと)”をテーマにした、メタ視線的なリリックにもぜひ注目してほしい(“おもしろ”は一切ありません!)。

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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