アンダーソン・パーク新ユニットNxWorries、今年のベスト作候補か? 小野島大による新譜8選

 フル・アルバムとしては6年ぶりとなるワールズ・エンド・ガールフレンド(world's end girlfriend )の『LAST WALTZ』(Virgin Babylon Records)。クラシカルからエレクトロニカまで幅広く多彩な音楽性、生音と電子音をレイヤーしながら巧みに構築していく美しくドラマティックな世界はこの人ならでは。アルバムを聴き進めるにつれ、圧倒的なエモーションの奔流に飲み込まれそうになります。6年待った甲斐のある大傑作。11月26日発売。

ワールズ・エンド・ガールフレンド『LAST WALTZ』トレイラー1
ワールズ・エンド・ガールフレンド『LAST WALTZ』トレイラー2
ワールズ・エンド・ガールフレンド「Crystal Chrysalis」
ワールズ・エンド・ガールフレンド「Plein Soleil」
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メッセージ・トゥ・ベアーズ『Carved From Tides』

 ロンドンのジェローム・アレキサンダーによるソロ・ユニット、メッセージ・トゥ・ベアーズ(Message To Bears)の『Carved From Tides』。デリケートな音のレイヤーが印象的なエレクトロニカ~フォークトロニカ。メロディアスなボーカルもフィーチャーされ、肩肘張らず楽しめるポップな一作です。

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 元エメラルズのシンセサイザー奏者スティーヴ・ハウスチャイルド(Steve Hauschildt)の新作『Strands』。キラキラと輝く細かい粒子状の電子音がゆったりとたゆたうように舞う、コズミックでサイケデリックで幻想的なアンビエント・エレクトロニカ。もはや大きく変わりようもない唯一無二の世界ですが、やはり素晴らしい。

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 最後に、発売はちょっと先ですが、相当に話題になりそうな新譜を。バッファロー・ドーターのシュガー吉永(G)と、元マーズ・ヴォルタのホアン・アルデレッテ(B)と、新世代ジャズ・ドラマーとして注目の気鋭マーク・ジュリアナ(Ds)が組んだ新バンド、ヘイロー・オービット(Halo Orbit)のファースト・アルバム『Halo Orbit』(Beat Records)。「エレクトロニックでかっこいいもの」というえらくざっくりとしたコンセプトのもと、主にLAで録音されたという全9曲(プラスボーナストラック1曲)は、これぞまさにテン年代のオルタナティヴ・ロックというべきバリバリのコンテンポラリー・ミュージック。ホアンやシュガーのルーツである80年代90年代のオルタナティヴ・ロックのエッセンスに、ジュリアナが持つテクノ/エレクトロニカ以降のエクレクティックでヴァーサタイルなセンスが融合しゾクゾクするほどかっこよくて刺激的な音楽です。3人の豊富な経験を反映して、音楽的にバラエティがあり、しかもどの曲も創意工夫に富み、アイディアも豊かで、まさしく「今の時代の音楽」らしいカッティング・エッジかつポップなアルバムに仕上がりました。ホアンとデルトロン3030を組むデル・ザ・ファンキー・ホモサピエンやマニー・マーク、マーズ・ヴォルタのエイドリアン・テラサス・ゴンザレスやマルセル・ロドリゲス=ロペスなどゲストも豪華。初ライブは来年を予定しているそうですが、早く日本でも見たいですね。12月14日発売。

ヘイロー・オービット『Halo Orbit』トレイラー

■小野島大
音楽評論家。 時々DJ。『ミュージック・マガジン』『ロッキング・オン』『ロッキング・オン・ジャパン』『MUSICA』『ナタリー』『週刊SPA』などに執筆。著編書に『ロックがわかる超名盤100』(音楽之友社)、『NEWSWAVEと、その時代』(エイベックス)、『フィッシュマンズ全書』(小学館)『音楽配信はどこに向かう?』(インプレス)など。facebookTwitter

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