MIYAVIのフィーチャリスティックな世界 “NEW BEAT, NEW FUTURE”ツアーファイナルを観た

MIYAVIのフィーチャリスティックな世界

 ライブ後半には「Cry Like This」や「Guard You」といったエモーショナルなミディアム/スローナンバーも登場。さらに「Universe」や「Survive」ではMIYAVIとBOBOの2人のみによる白熱のセッションも展開され、曲中のブレイクでMIYAVIが指をクイクイ動かして観客を煽る場面もあった。そして「Horizon」「Day 1」とライブには欠かせないダンスチューンが連発されると、会場の熱気もピークに到達。本編ラストの「Steal The Sun」では悲痛の叫びのようなギターソロを会場中に響かせて、オーディエンスをクライマックスへと導いた。

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 アンコールではこの日のライブがソールドアウトにならなかったことに触れつつ、「まだまだ日本でも頑張らなくちゃなと思いました。でもレニーを含め、どんどん新しい仲間が増えていってることが実感できた」と前向きなコメントを寄せるMIYAVI。ここで2017年にデビュー15周年を記念したベストアルバムの制作と、2月からスタートするワールドツアーについてもアナウンスし、観客を喜ばせた。続けて彼は「一歩一歩ですけど、でも着実に未来に向けて、少しずつMIYAVIという船が大きくなっているのを俺自身実感できてるし、作る音楽ももっと自分たちの理想……どういう世界にしたいのか、どういう社会にしたいのかというところにもっとフォーカスして、大人も子供も楽しめるような、未来に直結した音楽を作っていきたいと思っています」と語り、「みんなで一緒に、この宇宙に、この空に響かせてほしいなと思います」と呼びかけてから「Real?」をパフォーマンス。会場中にオーディエンスのシンガロングが響き渡る中、MIYAVIは激しくエモーショナルなギタープレイで観る者を魅了した。そして最後の最後に、アグレッシブなスラッププレイとともに「What's My Name?」をファンにプレゼント。ステージと会場がひとつになったところで、2時間半におよぶツアーファイナルは幕を下ろした。

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 この日のAbemaTVでの総視聴者数は10万を突破したとのこと。この数字は必ず次につながると確信している。そう断言できるほど、この日のステージは圧巻の内容であり、多くの音楽ファンが観るべきものだった。これはまだ小さな一歩にしかすぎないのかもしれない。だが、この小さな積み重ねが『Fire Bird』という力作の浸透にもつながり、今のMIYAVIがいかに面白いことをやっているかの認知にもつながるのだ。デビュー15周年を目前にアーティストとして新たなステージに到達したMIYAVIの動向に、ぜひこの機会に注目してほしい。

(Photo by Yusuke Okada, Keiko Tanabe)

■西廣智一(にしびろともかず) Twitter
音楽系ライター。2006年よりライターとしての活動を開始し、「ナタリー」の立ち上げに参加する。2014年12月からフリーランスとなり、WEBや雑誌でインタビューやコラム、ディスクレビューを執筆。乃木坂46からオジー・オズボーンまで、インタビューしたアーティストは多岐にわたる。

■セットリスト
『MIYAVI Japan Tour 2016 “NEW BEAT, NEW FUTURE”』
10月10日(月・祝)幕張メッセ イベントホール

01. Fire Bird
02. Raise Me Up
03. Mission Impossible Theme
04. Into The Red
05. Come Alive
06. Let Go
07. Dim It
08. She Don't Know How To Dance
09. Afraid To Be Cool
10. Cry Like This
11. Guard You
12. The Others
13. Long Night
14. Another World
15. Universe
16. Survive
17. Horizon
18. Day 1
19. Steal The Sun

<アンコール>
20. Real?
21. What's My Name?

MIYAVIオフィシャルサイト

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