宇多田ヒカル『Fantôme』、発売初週のセールス推移は? 傑作ポップスはこう広まる

 29日(木)27,782枚 → 30日(金)25,038枚 → 10月1日(土)28,899枚 → 2日(日)32,065枚 → 3日(月)14,028枚

 これが宇多田ヒカルの売れ方です。ポップスの広まり方、と言ってもいい。EXILEの場合は30日の段階で1万枚を切っていますから、スタートダッシュでどれだけ数字を伸ばすか、という売り方ですね。特典など何もついていないけれど、毎日安定した数字が出て、土日は特に売り上げが伸びる。音楽や芸術をあえて商品と呼ぶのなら、これは、売り物としてすごく健全である、ということです。

 もっとも、発売からまだ一週間。「初週に買うのは全員コアファンだろ」と言われればその通りです。ライトリスナーはこれからもずっと「宇多田ヒカルの新譜がいいんだって」という声を聞き、なんとなくCDを手に取っていくことでしょう。どんどん売れて欲しい。CDショップにもっと人が集まると楽しいのに。先日まさかの「情報告知一切なし、いきなり店頭販売」というゲリラ戦法を見せてくれたHi-STANDARDの件も相まって、なんだか、音楽業界全体に希望が見えた一週間でした。

■石井恵梨子
1977年石川県生まれ。投稿をきっかけに、97年より音楽雑誌に執筆活動を開始。パンク/ラウドロックを好む傍ら、ヒットチャート観察も趣味。現在「音楽と人」「SPA!」などに寄稿。

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