ROLLY、ロックへの“異常な愛情”を語る「簡単に理解されては困るから、敷居を上げてる」

 ROLLY、ロックへの“異常な愛情”を語る

「全盛期だったフュージョンにもジャパメタにも、ひっかからなかった」

──その他に、選曲の際に考えたことを教えていただけますか。
 
ROLLY:まず、「外道、はっぴいえんど、四人囃子、サディスティック・ミカ・バンドはまた入れよう」っていう。普通、前作と同じバンドは入れないんですけど……たとえばサディスティック・ミカ・バンドの「黒船(嘉永六年六月四日)」を選んだのは、キングレコードの夏目さんが、「ROLLYさんのギタリストとしての野性の証明で、ぜひギター・インスト曲を1曲お願いします」と。日本でギター・インスト曲で有名なものというと、クリエイションの「スピニング・トゥ・ホールド」や「暗闇のレオ」とか……でもその中でいちばん自分がグッとくるのはこの曲なので、アルバムの最後に入れようと。
 
──ROLLYさんがギターを弾き始めた当時って、フュージョンとかも人気ありましたけど、そっちにはひっかからなかったんですね。
 
ROLLY:ああ、ひっかからなかったですね。フュージョンは、僕にとってはメロウすぎるんですよ。もっとバカ丸出し! みたいなのが好きなんですよね。
 
──あと、ジャパメタ全盛期に大阪にいたのに、そっちにもひっかかってないし。
 
ROLLY:うんうん。もうまわりみんなジャパメタでしたね。
 
──そこに混じらなかったのはなぜでしょう。
 
ROLLY:混じらなかったのは……僕、金色のクルマに乗ってるんですけど……自分がやっている音楽は、自分は最高にイカしてるって思うのに、なぜ意外と一般的な評価が低いのだろう?と。それを自分なりに考えると……とにかく、普通のものがイヤなのね。よくあるものは絶対にイヤで、「ん? ちょっと変わってるな」って違和感を感じるものにしか興味がなくて。

 その時の主流に対して、自分がどういう立ち位置であるか?というのが、自分の真髄なんですよね。だから、全員が僕みたいな音楽をやったら、たぶん違う音楽をやると思う。

 たとえばクルマも、故障の少ない国産車で、シルバーとか黒とかにしときゃいいのに、わざわざ外車市場でももっとも人気のない車種で、その中でもいちばん人気のない金色のやつを買って、鏡に写った自分を見て「かっこいい! 誰も乗ってないだろう、こんなクルマ」と。誰も乗ってないのはなぜかというと、人気がないから(笑)。

 だから、「なぜ自分は理解されないんだ?」といっつも思ってるけど、よくよく考えてみたら、そう簡単に理解されては困るから、敷居を上げてんのよね(笑)。「なんでみんなわからんのかな?」って思ってたんですけど、自分がわざとそうしてたってことに気がついた。50すぎて気付くなって話なんですけどね(笑)。

今回のこのジャケットにしても、UFOみたいなロゴにしてんのになぜわからない? 「雨あがりの夜空に」とUFOの「Only You Can Rock Me」のイントロのリフ、僕は個人的に似ていると思う。だからこのアルバムに入れたのに! っていう。僕の一生っていうのはもうずっとそれで、最後まで「なぜだ?」って自問自答しながら死んでいくんだなと。だけど、ある人に言われたんです、「だからといって全員が『いい』と言ったらイヤでしょ?」って(笑)。
 
──ディープ・パープルやレッド・ツェッペリンじゃなくて、UFOじゃなきゃいかんと。
 
ROLLY:そう。

「実は、今までの人生でもっとも充実してる」

──だから、そこですよね(笑)。(※UFO:主に70年代に活躍した英国のハードロック・バンド。マイケル・シェンカーが一時期在籍し「ROCK BOTTOM」や「DOCTOR DOCTOR」等の名曲を残した)
 
ROLLY:みんなが「いい」と言ったらイヤ、わかる人だけがニヤッとするものが好きっていう、根っからのひねくれ者。でも、ひねくれ者も……今年でデビュー26年なんですけど、いかがわしいものでも長くやれば、そこにひとつの美が生まれてくるんじゃないかと。アホなことをやり続けたことを、とうとうわかってくれる人も、少しいる、っていう。

 ここまで文句ばかり言うてますけど、自分は今すごく幸せなんです。こんなものをやらせていただいて……あの、僕はミュージシャンをやりながら、お芝居だとか、ありとあらゆることをやってきました。音楽畑じゃない、演劇畑の人たちからも、すごく吸収できることがあって。そして、デビューして26年も経ちますが、自分は今がもっともかっちょいいと自分では思っている。俺はまさに、『ロッキー・ホラー・ショー』とデヴィッド・ボウイとアルヴィン・スターダストを全部合わせたような奴だと。

 52歳の今が、人生でもっともよく働いてますね。去年、140回ぐらいステージに立ちました。Orquesta Libreというビッグ・バンドとも一緒にやってるし、THE 卍というバンドもやってるし、ROLLY & Glimrockersというバンドもやっているし、お芝居とかも全部合わせるとそれくらいの数で。だから実は、今までの人生でもっとも充実してる。そのゴキゲン感が、このアルバムにも出てると僕は思うんです。
 
──でも、さっきの話の続きですけど、そんな自分は音楽を職業にしている人たちの中でもどうやら異端らしい、自分の音楽との向き合い方はヘンらしい、ということは──。
 
ROLLY:そんな気がしてならない。ずっと自分ではそう思ってなかったんですけど、今は……たとえば地方にキャンペーンに行って、夜スタッフとロック・バーに行った。誰かがカラオケを歌い出した、そばにギターがある、そういう時プロの人は「俺、いいよぉ」って弾かないらしいんですけど、僕は店に入った瞬間にギター持つもんね。イスに座る前に。

 この間も舞台の打ち上げでロック・バーに行って、飲み物を注文する前にギターを持って、みんな帰って誰もいなくなるまで、一回も放さなかったらしいです(笑)。演歌だろうが知らん曲だろうが、必ず弾くね。カラオケで歌ってる横で、ギターでオブリを入れてあげたりすると喜ばれるんですよ。「ROLLYに弾いてもらった」って。僕にとってはそれが普段からのトレーニングというかね、自分のタイプじゃない音楽でも、瞬時に「あ、自分だったらこういう感じに弾くな」っていう。
 
──病気ですね。
 
ROLLY:(笑)そうだと思います。だから、このアルバムのコピーに書いてあるじゃないですか? 「錯乱のギタークレイジー“ROLLY”」って。

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