リオ五輪閉会式での楽曲起用も話題 H ZETTRIOの“ジャンルを凌駕する”活動論をメンバーに訊く

H ZETTRIOに訊く、ジャンルを凌駕する活動

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「オールOKっていうスタンスでいたい。『できません』って言いたくないんですよね」(H ZETT NIRE)

──あの、以前の……PE’Zという別人のバンドも含めてなんですけど、ロック・シーンにもジャズ・シーンにも足をつっこんでいるけどどっちでもない、みたいなポジションじゃないですか。

H ZETT NIRE:ああ、なるほど。

──で、キャリアを重ねるうちに、それはどちらかに落ち着いていくのかなと思っていたら、ずっとそのままというか、よりいっそうそのままというか(笑)。

H ZETT NIRE:ああ、でも居心地はいいんじゃないですかね? この位置は。というのは、ロックのフェスでもジャズのフェスでも、気持ちよく出て行けるので。まあ……言い方はあれですけど、おいしいっていう(笑)。「ジャズです!」「ロックです!」ってこちらから言うと、狭まっちゃう気もするので。「楽しい音楽全般ですよ!」とか……それすら言ってないんですけど、そういうような気持ちでいれば、なんでもできちゃうかなと。

H ZETT M:ロックとかジャズっていうジャンルを否定するわけじゃないんですけど、単純な話で、音を出して、聴いてる人が「うわ、いいね!」って言ってくれれば、それでOKだと思うんですよ。ロックとかジャズっていうのは、そこからあとの話で。とにかく、音を出して、それが聴いてる人に伝わって、喜んでくれるのがまず第一というか。そこを大事に思っているということなんですよね。…………。

──?

H ZETT M:……何を言いたかったのか、忘れました。

──(笑)。

H ZETT NIRE:でも、ツアーでも、フェスでも、ほんとにいろんな会場で演奏しますけども……たとえば「モニター・スピーカーがないところだとできないよ」って言っちゃうと、その瞬間に狭まってしまう。「いや、まあ、できるっちゃできますよ」っていうスタンスでいたほうが……そこでノーって言っちゃうと、可能性が絶たれるから。カフェとか芝居小屋とかで、そもそもライブやる会場じゃない、でもピアノはあります、みたいなところで……でも雰囲気はすごくいい、やってみたら音もいい、ってこともあるんですよね。ノーって言ってたら、そこでライブをやる機会はなかったわけで。オールOKっていうスタンスでいれば、もっと楽しいことができるのかな、と思うんです。

 それこそ、ツアーとレコーディングを同時にやるスケジュールというのも、同じで。「できません」って言いたくないんですよね。言ったらもったいないんじゃないか、狭まっちゃうんじゃないか、楽しいことがその先にあるのに、そっちに行けなくなっちゃうんじゃないか、と。

──たとえば、CDが売れないとかで、昔よりもバンドが活動していきづらい世の中だとも言えると思うんですが、このバンドにとっては今の方が活動しやすいというところはあります?

H ZETT NIRE:どうでしょうね……ただ、活動のサイクルを速くできたのは、配信なしではあり得ないので。レコーディングして配信してすぐライブ、っていうこのサイクルは、今だからできることで。昔だったら、CDを出すまでに曲を貯めなきゃいけなかったり、レコーディングしてからリリースまでに時間がかかったりしたじゃないですか。今は作ってすぐライブでやって、そうするとお客さんの反応を見て、それを次のライブに活かしたりできるので。お客さんとのパス回しも、どんどんよくなっていく。

H ZETT KOU:なるほど! そう考えると、配信とツアーが重なってたのはよかったよね。

H ZETT NIRE:ねえ? でもそこで「こんなスケジュールじゃ……」って言ってたら、実現してないんですよね。やってみて気づいたわけですから、「あ、ツアーやりながらシングルを配信で連続して出すというのは、こんないい点があるんだ」っていうのは。なんでもそうだけど、やってみないとわかんない、ということじゃないですかね。

H ZETT M:……まあ、CDが売れないというのは事実としてあるわけですけれども、音楽を欲している人はたぶんいっぱいいて、というところを信じているというか。「音楽っていいな」と思ってほしいので。どういう形で届くのかわかんないけど、とにかく届いたらいいな、それには今みたいなフットワークの軽さは武器になるのかな、という気はしますが……がんばっていきたいな、と思います。

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──『スッキリ!』(日本テレビ)から声がかかって出演したり(今年5月25日にスタジオで生演奏)、8月26日には『あさイチ』(NHK)での生演奏が決まっていたり、いわゆる音楽メディア以外からの注目も高まっていると思うんですけども。それはH ZETT Mさんの今の話や、さっきの「開かれた感じ」という話とリンクしてます? やっぱり、反響あったでしょ?

H ZETT M:テレビっていうのは、みなさんすごくよく観ていらっしゃるんだな、とは思いましたね。

H ZETT NIRE:『スッキリ!』は、ツアーの途中だったんですけど……どこまでがその影響かはわからないですけど……前から、いろんな年代の方がライブに来てくれてたんですけど、それが本当にすごく幅広くなった実感はありましたね。

──あ、目に見えてわかるぐらい?

H ZETT M:目に見えてわかるぐらいです。6歳ぐらいの男の子が最前列で踊ってたり。

H ZETT NIRE:かと思うと、白髪のおじいちゃんがニッコニコで観てくれて、「よかったよお!」って言ってくれたり。それはかなりいいですよね! なかなかないでしょ? そんなこと。だから、そういうふうに、どんどん広げていけたらいいなと思っていますね。

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