北欧パンク文化は尊敬できるものばかりだったーーFORWARD・ISHIYAスカンジナビアツアー体験記

FORWARDスカンジナビアツアー体験記

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ストックホルムのライブハウス。カラフルに彩られ、アートスペースとしても使用するようだ。
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ライブハウスの内側から見てもカラフル。

 起きてからストックホルム旧市街観光などをしてライブハウスへ向かう。ストックホルムでライブを行なう場所は、中心部からは少し外れており、外観も非常に個性的で、アートスペースのような倉庫を改造して作られた場所だった。

 北欧は福祉に対しての理解が一般的に浸透しているためか、こういったライブをやる場所でもトイレは車椅子でも使えるようになっている。

 難しい部分はたくさんあるとは思うが、日本のライブハウスでもこういった認識を持つライブハウスが増えてくると素晴らしいのではないかと感じた。

 サウンドチェックを終えると食事を用意してくれていて、そういった部分は以前レポートしたアメリカと変わらない。相互扶助の精神が、世界中のアンダーグラウンドパンクシーンには共通している。(参考:菜食主義、シェアハウス、パーティ……現役パンクロッカーが見た、アメリカ・パンクスの生活

 開場時間が近づくと、続々と客が集まり始める。共演するMEANWHILEはTORTALITERのメンバーも在籍するために人気が高いようだ。

 実際ライブも大盛況ではあったが、MEANWHILEの後の出演だったためかFORWARDが始まるときには観客がまばらだった。観客もMEANWHILEで満足感を得られたのだろう。

 しかし、日本から来ているのに観ないで判断されたくはない。ライブが始まってからはライブハウスの外まで出て歌うと観客が中まで入ってきてくれ、その後は非常に盛り上がり、初スカンジナビアは良いライブとなった。

 2日目は、スウェーデン北部最大の都市Umeåという街だ。移動にはストックホルムから約8時間ほどかかったと思う。

 ここはストックホルムで泊めてもらったChristofferの在籍するDS-13の地元。

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雨の中続々と集まり始める観客。さすがDS-13の地元だ。日本からUmeåに行ったバンドはLIFEと我々FORWARDのみである。

 会場に到着するとすでにパンクスがいて、FORWARDを流しながらタムロしている。会場がまだ開いていないためそのパンクスたちと雑談していると、日本のハードコアバンドがUmeåに来ることなど無いとのこと。過去に日本のハードコアではLIFEがUmeåに来ただけで、FORWARDが来てくれたことを非常に喜んでくれた。そうしていると間もなく会場のスタッフが到着した。

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Umeåのライブハウス。地下にあり、暗くて薄汚い非常にいい感じの場所。

 オーガナイザーが言うには、このライブハウスは伝説的なライブがたくさん行なわれたライブハウスとのこと。数々の海外やスウェーデンのハードコアバンドが出演してきたライブハウスのようだ。出演順もDS-13を最後にしたいというので快くOKしたのだが、DS-13が到着すると、メンバーが昨日のライブを観てFORWARDを最後にしてくれと言ってくれたらしく、結局最後に演奏することとなった。

 もし昨日のライブが良くなければ順番を変わることはなかったのだろうか?

 どちらにせよ、FORWARADのライブを観てくれてそういった感覚で地元のライブに迎えてくれたことは素直に嬉しいし、自分たちがやっていることが間違ではないと感じることができ、この日のライブにも気合いが入る。

 あいにくの雨模様で、この街もスウェーデン北部最大の都市とはいえそれほど大きな街でもなく、ライブハウスも街の中心部ではないのに、さすがDS-13が地元でライブをやるというので、どこから来たのかと思うほどの観客が集まってきた。

 DS-13の他にも出演したバンドもレベルが高いバンドが多く、パンクロック的なアプローチではあるが、オリジナリティ溢れる演奏を見せるバンドは、名前を失念してしまったが非常に面白かった。

 そしてDS-13は圧巻のライブで、さすが現役スウェディッシュハードコアの雄と言える素晴らしいライブだった。

 自ずと自分たちも気合いが入り、FORWARDを楽しみにしていてくれたパンクスもいたので、期待に応えられるよう気合いを入れてライブをやった。

 DS-13が終わり帰ってしまうかと思った観客も大勢残ってくれ、Umeåでのライブも非常に思い出深いものとなった。

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