中田ヤスタカ、tofubeatsらが出演、クラブとポップシーンを横断する『YYY Vol.1』レポート

『YYY Vol.1』レポート

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 続いて3番手として登場したbanvoxは、「Summer」で夏の到来を思わせる立ち上がり。彼が最も得意とするトラップを中心に据えた破壊力抜群のセットで、「New Style」から『モード学園』の2016年度TVCM曲「Occasion」の初パフォーマンス、ディプロのマッド・ディセントからリリースされたガストリーの「Get On This」、「Don’t Wanna Be」へと繋いでフロアを一気に盛り上げていく。以降もディプロとスクリレックスによるユニット、ジャックUの「Where Are Ü Now" with Justin Bieber」やスクリレックスの「Scary Monsters And Nice Sprites」、ザラ・ラーソン&MNEKの「Never Forget You」、ディプロの「Set Me Free (feat. LIZ)」などに加えて、韓国の若手トラックメイカーNorとの「Flux」やHyperJuiceの「City Lights」をプレイ。自身のものや交流のあるアーティストの楽曲を中心に、巨大な音の塊で全身を殴るかのようなbanvoxらしいステージを展開し、最後は「Watch Me」で締めくくった。

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banvox

 そして最後に登場した中田ヤスタカは、序盤から王道EDM~エレクトロで会場を一気に沸点までもっていくと、その後はCAPSULEの「Another World」や、2曲を自然に繋いでみせたPerfumeの「STORY」&CAPSULEの「Hero」、きゃりーぱみゅぱみゅの「CANDY CANDY」やPerfumeの「Glitter」といった人気曲を連発する横綱相撲のようなセット。続いて彼のDJではお馴染みのアンセム、スティーヴ・アオキ&モクシーの「I Love It When You Cry」をプレイする頃には、会場は特大の多幸感に包まれる。以降も「Miracle Worker」、「にんじゃりばんばん」など自身が楽曲提供した人気曲をプレイ。Perfume「FLASH」をかけながら「今日は最後までありがとうございます!」とMCすると、アンコールではPerfumeの「レーザービーム」にB’zの「ultra soul」をマッシュアップ。「虹色の/ultra soul!!」と全員でジャンプする展開でイベントはついに大団円を迎えた。

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中田ヤスタカ

 世代を超えた4人に共通しているのは、その活動自体がクラブ/ポップ・シーンを自在に横断しているということ。今や日本屈指のヒット・メイカーとなった中田ヤスタカ、ライブを想定した、やのあんなとのユニットlivetune+に加えて初音ミクから2次元アイドルの楽曲までで縦横無尽に才能を発揮するkz(livetune)、最先端のビート・ミュージックへの造詣を持ちながら、SMAPを筆頭にした公式リミックスやゆずの「かける」の編曲などポップ・シーンでの仕事も数多くこなすtofubeats、そしてトラップやR&B/ヒップホップを駆使してフロア・アンセムを連発しながらも、近年は湘南乃風の楽曲プロデュースを担当するなど人気アーティストの楽曲制作/リミックスワークも増えているbanvox。この4人の場合、タイムテーブルやその日のモードによってイベントの雰囲気はどんな形にも変更できる。そしてそれらがすべて、観客が両手を空に掲げているように見える『YYY』というイベント名同様、「みんなでワイワイしよう」というごくシンプルなテーマに向かっていくこと。これがイベントの最大の魅力として、クラブの玄人からビギナーにまで開かれた空間を生んでいたように思う。ミュージシャンであると同時に優れた音楽シーンのキュレーターでもある彼らが、ポップを題材に自由に遊びを展開する姿が何よりも印象的な一日だった。

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(文=杉山仁)

http://yyy-official.com/

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