スピッツ、新作に感じたロックバンドの“醒めない”魅力ーー7月27日発売の注目新譜5選

安室奈美恵『Hero』(SG)

 アテネオリンピック(2004年)の「栄光の架橋」(ゆず)、北京オリンピック(2008年)の「GIFT」(Mr.Children)、ロンドンオリンピック(2012年)の「風が吹いている」(いきものがかり)に続く、NHK リオデジャネイロオリンピック・パラリンピック放送テーマソングに起用されたニューシングル。表題曲「Hero」の幕開けは“I’ll be your hero”という力強いフレーズ。ドラマティックなメロディとともに“今の自分のままがんばればいい”というメッセージを伝え、1分40秒あたりからパーカッシブなビートが加わり雰囲気が一転、アンセムにふさわしい壮大なコーラスとともに感動のフィナーレに向かっていく。オリンピックの熱戦に色を添えるという役割を的確に果たすと同時に、2時間のステージをノンストップで完璧にやり切るーーまるでアスリートのような肉体と精神を備えたーー現在の安室奈美恵の存在をリアルに伝える楽曲に仕上がっている。それにしても気が付けば2020年まであとわずか4年。東京オリンピックでは誰がどんな曲を歌うのでしょうか…?

安室奈美恵「Hero」

ジャニーズWEST『人生は素晴らしい』(SG)

 知り合いの関ジャニ∞のファン(アラフォーに限りなく近い30代女子)が「エイト降りてWESTに行こうかな」と言っていて、理由を聞いたら「曲がジャニーズらしくて好きだから」ということだったのだが(あくまでも個人的な感想です)、このシングルを聴いて少しだけ彼女が言ってる意味がわかった気がする。表題曲「人生は素晴らしい」。華やかな雰囲気のイントロ、楽しく手拍子できそうなテンポ感とちょっとだけソウルミュージックの要素が入ったアレンジ(ワウギターがさりげなく効いてます)、開放感に溢れたサビのメロディ、<人生は素晴らしい/いつだって美しい>というあっけらかんと前向きな歌詞。爽やかに振り切ったボーカルの雰囲気を含め、確かにこの曲を聴けば、誰もが「ジャニーズっぽい」と感じるのではないか。作曲は戦隊モノ、アニメの楽曲を数多く手掛けてきた岩崎貴文、編曲は90年代中盤からJ-POPシーンを支え続ける水島康貴。こういう職人的なクリエイターが伝統的なジャニーズソングを受け継ぐのも、じつは大切なことだと思う。

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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