2.5次元コスプレダンスユニット アルスマグナの人気の秘密を考える

 さらに、彼らの楽曲についても言及しておきたい。ボーカロイドの曲に合わせて踊ったことから知名度を上げていってグループらしく、アップテンポでデジタルサウンドが目立つ曲が多い。それは、“良い楽曲”、“高い歌唱力”だけで売れることが難しい現代の音楽シーンが影響しているように思う。一昔前よりも容姿やビジュアルのインパクト、ワクワク感が求められているのではないだろうか。アルスマグナは、容姿もインパクトもワクワク感もすでに持ち合わせている。その魅力をダンスを通して最大化するために、“ノれる曲”をチョイスしているのではないだろうか。しかし、2016年3月9日に発売した4thシングル曲「マシュマロ」は切ないバラードだった。企画アーティストではなく、本当に実力のあるアーティストだからこそ、アップテンポ一辺倒ではないというアピールもできている。

 アルスマグナを代表とする“踊り手”のファン層は、10〜20代がメインだ。純粋に歌唱力や楽曲が評価されるケースが多かった70〜90年代を生きた30代以上よりも、アーティストを総合的に見る傾向がある。また、乙女ゲームの台頭や、アニメの一般化という時代背景もあり、これまでよりも2次元に抵抗がない人も多いと考えられる。アルスマグナは、ファン層の心理や時代の流れを上手く汲んでいるアーティストと言えよう。来る7月13日には、大御所歌手である小林幸子とコラボレーションをした5thシングル『サンバDEわっしょい! feat.九瓏幸子』も発売。今後、さらに知名度を上げ、脚光を浴びていくグループになるだろう。

(文=高橋梓)

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