実りある音楽体験を届ける“目利き”としてのレーベルーー『CONNECTONE NIGHT』が示した充実

『CONNECTONE NIGHT Vol.1』が示した充実

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ぼくのりりっくのぼうよみ(写真=神藤剛)

「目利き」としてのレーベルの存在意義

「とにかく新しくて面白いものをやっているレーベルだ、というワクワク感にこだわっています」
CONNECTONEレーベルヘッド 高木亮氏インタビュー「“音楽の匂いが濃い”人に集まってほしい」

 これはレーベルヘッドである高木亮氏のコメントだが、華のあるアーティストが次から次に登場する<CONNECTONE NIGHT Vol.1>はまさにそんな空気に満ち溢れたイベントで、レーベルとしての今後の飛躍を感じさせるものだった。

 高木氏は同じインタビューで「メディアでも、CDショップの店頭でも、最近になって“CONNECTONEくくり”みたいなものが成立するようになってきた」と発言しているが、今回のイベントは各所で徐々に浸透しつつある「CONNECTONEは面白い、間違いない」というイメージをさらに強固にするものであったように思える。そしてそんなイメージの確立は、レーベル運営側だけでなくリスナーとしてもありがたいものである。いつでもかっこいい音楽を紹介する「目利き」との出会いは、自身の音楽体験をより実りのあるものにしてくれる。

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sympathy(写真=神藤剛)

 「情報過多」もしくは「細分化」が進む音楽シーンにおいて、バラバラになった情報をつなぎ合わせるものの価値が再び高まっているように感じられる。その機能を担うものとして、レーベルという単位は大きな可能性を秘めているのではないだろうか。アンダーグラウンドシーンではネットレーベルのような形での音源のお墨付きはこれまでも行なわれていたが、メジャーのレコード会社が「単なる流通上のしるし」ではなく「尖った信念と納得感のあるクオリティの担保」のためのレーベルを立ち上げるというのは、うまくいけば日本の音楽文化を再構築するような動きにつながるかもしれない(同じタイミングでワーナー傘下の<unBORDE>がライブイベントの実施やコラボ曲の制作を行なっているのも興味深いシンクロである)。

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THE THROTTLE(写真=神藤剛)

 <CONNECTONE>の取り組みがどこまで理解されるかは、日本のメジャーな音楽シーンの元気度を測る一つの試金石となるかもしれない。そんなことを思った『CONNECTONE NIGHT Vol.1』だった。すでに今回の出演アーティストの何人かは「次回はもっと大きい場所でやりたい」という決意表明を行なっているが、さらに規模拡大した「Vol.2」を楽しみに待ちたい。

■レジー
1981年生まれ。一般企業に勤める傍ら、2012年7月に音楽ブログ「レジーのブログ」を開設。アーティスト/作品単体の批評にとどまらない「日本におけるポップミュージックの受容構造」を俯瞰した考察が音楽ファンのみならず音楽ライター・ミュージシャンの間で話題に。2013年春にQUICK JAPANへパスピエ『フィーバー』のディスクレビューを寄稿、以降は外部媒体での発信も行っている。

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