Awesome City Club×CAMPFIRE家入一真対談 バンドとネットの関係はどこに向かう?

ACC×CAMPFIRE・家入氏対談

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「『音楽さえよければ』ということはあまり考えなくなった」(atagi)

――Awesome City Clubはネット上の活動にとても積極的なイメージですが、ライブなどのフィジカルな活動とのバランスも今後大事になってくるのではないでしょうか。

PORIN:大事なんですけど、最終的にはひとつなぎに近いところまで持っていけるような気がしています。バンドとしての本体は人間の集合体だけど、活動する場や表現の仕方は無限に選べる時代になっているので、あとはそれをどう上手く使うだけかと。

atagi:僕らはまだ、規模感的にそこまで多くの人に知られているわけではないので、クラウドファンディングで買ってくれた人やnoteで繋がっている方がライブにも来てくれて、ネットがフィジカルのコミュニケーションを生んでいる部分もあるんです。ただ、規模が大きくなっていくと、ネットの人はネットで完結して、フィジカルの世界へ繋がりにくくなるのかもしれないですね。

家入:最終的にはやっぱりフィジカルが大事ですよね。ライブで見に来た人たちを沸かせることって、本当にすごいし尊いと思います。僕、リツイートしかできないですもん(笑)。

PORIN:ネットで人を沸かせることができるのも、すごいことだと思います!

家入:でも、僕らは表に出てきたらパンチ一発で死んじゃうような存在ですよ。フィジカル的には風呂場にいるガガンボと同じくらいの耐久力だから(笑)。それはいいとして、実際会社を経営しているなかで思うのは、IT企業の業務は会社へ行かなくても成立するけど、同じ場を共有して、一体感を感じて、熱量を味わっておかないと、組織って上手くいかないんだなと。実際にアメリカでも言われていることですが、ネットがあるから場所や時間を問わないという概念は「実はそうじゃない」というところに来ているのが今なんですよね。

――Awesome City Clubの今回の取り組みでは、クラウドファンディングという最新のシステムを使って、リターンにはオールドメディアのカセットテープを提供しています。これはとても面白い試みだと感じました。

PORIN:カセットテープにしたのは、アイテムとしてキラキラしているからで。中目黒にもWaltzという専門店ができましたし、海外でも最近<Burger Records>のように、カセットテープ専門レーベルができたりと、アーティスティックな表現方法だと感じています。

atagi:僕やマツザカは、年齢的にカセットテープで聴くことをギリギリ体験している世代だし、ピンポン録音もやっていたので、レコードよりも現実味があるんですよね。

マツザカ:あと、カセットテープって熱で伸びるじゃないですか。ああいう現象が自分たちの音楽でも起きたらステキだなと思ったりしていて(笑)。デジタルって壊れちゃうと音が出るか出ないか、つまりゼロか100かしかないのですが、そうじゃない媒体に面白さを感じるんですよね。

――偶然発生的な音というか。

PORIN:そういうことですね。今回のリターン音源自体も、カセットっぽい音質にするために、iPhoneをスタジオに置いて一発録音したものなので。雑談も入っていますが(笑)。

――ちなみに家入さんは、Awesome City Clubの曲についてどのような印象を持っているのでしょうか。

家入:「切なさ」成分が多くて、ラジオで聴きたいと思わせてくれるんですよね。遠くで鳴っているのを聴いていたいし、車を運転しながら聴きたい。そういった感覚とカセットというメディアは相性がいいのかも。

atagi:ありがとうございます。僕らは街の中で鳴っている音楽を最初のコンセプトとして掲げていたので、BGMとして聴きたいというのは良い意味として受け取れました。

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