LD&K大谷秀政氏が提案する、音楽活動の新たな枠組み「これからは自立するアーティストが増える」

LD&K大谷社長が語る、音楽活動の新しい形

「自分で何かを作り出す」

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ーー大谷社長が20代で起業されたお話も伺いたいのですが、どんな動機があったのでしょうか。

大谷:単純に勤め人ができないからですよ(笑)。満員電車に乗りたくないし、“アンチ年功序列”みたいなところもあるから、大きい社会の歯車の仕組みみたいなのはちょっと無理だなと。だから自分でやるしかないなという。
 
 僕は一度、20代前半の頃にホームレスを経験しているんです。会社を立ち上げて2年目の半ばくらいにイベントをやって、それが大赤字になって。2晩で600万くらいでしたかね。でも自業自得だから納得もいく。その時は返済のことを考えると気が遠くなりましたが、とにかく企画書を作るしかなかった。ただ、良かったのは当時はちょうどバブルが崩壊したときなんですよね。世の中がガッタガタになっていて、すると意外に若者の言うことが認められやすくなって。これまでの大人の社会からパワーシフトが起きて、新しい人の意見を聞こうという時代になったんです。

ーーパワーシフトが起き、これまでのビジネスに隙間ができて、社会全体にチャンスが訪れたと。

大谷:チャンスでしたね。でも僕は広告代理店の下請けのような仕事や、当時流行っていたダイヤルQ2には手を出さなかった。自分で何かを作り出さなければと思っていたんです。ある程度カッコよく生きたいと思っていて。“武士は食わねど高楊枝”じゃないですけども。

ーー最初から受託ビジネスではないところで勝負したということですね。また、パワーシフトは音楽業界において2010年代の今も続いているのではないでしょうか。

大谷:変化しているとは思いますが、根底は変わらないと思っています。今回「we fan」でアウトプットの仕組みを作りましたが、新人開発をして、育てて、デビューさせて、その音をCDやライブで聴かせて、感動させて……って、やっていることは以前と全く変わりませんから。

ーーなるほど。それでは音楽が生まれる現場、ミュージシャンが音楽を作って発信する環境はどうでしょうか。

大谷:基本的には、環境としては変わってないと思います。音楽はなくならないと思っているので悲観的な要素はないですね。発信の仕方は仕組みによって変わっていっても、アーティストはいなくならないと思っているので。LD&Kは日本レコード協会に加盟していますが、IT業界や飲食業界と比べると比較的年齢層が高い。エンターテインメントの業界ですから、若い人の感覚もあってもいいんじゃないかと思いますけどね。

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