ヒトリエ新作で、シノダのギターはどう「進化」したか リズム重視のプレイを分析

 KANA-BOONの新作を聴いても感じたことだが、4つ打ちの飽和とブラックミュージック熱の高まりを受けて、今多くの若手ロックバンドがリズムに対する意識の更新を迫られている。そんな中でヒトリエがどこに向かったのかと言えば、前述のZAZEN BOYSもそうだし、同イベントの3回目に呼ばれているthe band apartもそうだが、ブラックミュージックの独自解釈を行ってきたオルタナティブなロックバンドたちの存在が、ひとつの指針になっていると考えられる。wowakaを中心に4人が集まったファーストからさらなる「深化」の道を選び、4人の個がアンサンブルを構築するようになった現在のヒトリエは、前述のバンドたちを徐々に視界に捉えつつある。

 シノダ自身にしても、ハードコアのシーンが分厚い名古屋の出身らしく、フレージングはもちろん、エモーショナルなステージングも含め、やはりオルタナティブな気質が強い。なので、カッティングひとつをとっても、「シャープな」とか「小気味いい」というよりは、常に高い熱量を感じさせるのがプレイヤーとしての魅力だと言えよう。楽曲を先導する「中毒性のあるリフレイン」に加え、バンドと一体となるカッティングもモノにしたシノダのプレイは、ヒトリエの現在を明確に示している。

(文=金子厚武)

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