GLAYによる“CDシングル”への問題提起 『G4』シリーズの先見性とは何か?

 本作は、GLAYのメンバー全員がそれぞれ書き下ろした新曲が収録される「G4」シリーズの第4弾。それぞれ大きなタイアップも獲得した「勝負曲」が4曲収録された、ミニアルバム的なボリューム感を持った一枚なのである。ミュージックビデオも4曲全てに作られている。

 HISASHI(G)が作詞作曲を手がけた「彼女はゾンビ」は『王様のブランチ』エンディングテーマにも決まった軽快なデジタル・ロック。ポップなメロディとゾンビ映画のタイトルの数々を引用した歌詞が印象的だ。

「彼女はゾンビ」

 そしてTAKURO(G)が作詞作曲を手がけた「Supernova Express 2016」は北海道新幹線開業イメージソング。情熱的なサウンドに乗せて〈Welcome Back To My Hometown〉と歌うこの曲は、函館出身の彼らが故郷である北海道への愛を込めたナンバーだ。

「Supernova Express 2016」

 テレビアニメ『ダイヤのA -SECOND SEASON-』のオープニングテーマとして書き下ろされた「空が青空であるために」は、TERU(Vo)が作詞作曲。野球をモチーフに『ダイヤのA』の世界観に沿って作られた熱い一曲。

「空が青空であるために」

 そしてJIRO(B)が作曲を、TAKUROが作詞を担当した「Scoop」は、直情型のパンキッシュなナンバーだ。こちらはテレビ朝日系『お願い!ランキング』エンディングテーマソングとなっている。

「空が青空であるために」

 というわけで、メンバーそれぞれの個性が発揮された4曲入りのシングルは、カップリングという概念のない作品。「収録曲が4曲以下ならシングル盤扱い」ということを逆手にとり、アルバムとしても聴けるような充実度を持った内容のものをシングルの価格で発売しようという作品になっているわけだ。

 ちなみに『G4・IV』というタイトルの通り、「G4」シリーズはこれで4作目。2006年にリリースされた『G4』は当時続けていた週間チャート連続1位記録が途切れるきっかけになってしまったのだが、今回の『G4・IV』では2008年の『VERB』以来7年8カ月ぶりとなる1位も獲得した。

 4人それぞれがクリエイティブを手掛けることに加え、10年前からシングルというフォーマットの変化を見据えた手を打っていた先見性も、GLAYの衰えない人気の理由の一つと言えるだろう。

■柴 那典
1976年神奈川県生まれ。ライター、編集者。音楽ジャーナリスト。出版社ロッキング・オンを経て独立。ブログ「日々の音色とことば:」Twitter

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「チャート一刀両断!」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる