SKY-HIはトリックスターから本物のスターへ デビューから最新作までのプロセスを辿る

 2013年にシングル『愛ブルーム/RULE』でメジャーデビューしたSKY-HI。彼はAAAのメンバー・日高光啓としての活動と並行し、ソロのラッパーとして地道にキャリアを積み重ねてきた。AAAで紅白歌合戦などの華々しいステージに立つ一方で、SKY-HIとしては数々のアンダーグラウンドなクラブイベントに出演し、フリースタイルの腕を磨いてきた。

 本人が過去にブログに記したことによると、地下のクラブで活動を始めたのは2006年頃。今から10年前にまで遡る。2008年にはSKY-HIとしてのリリースの企画を立てるも周囲の大人に「お前が土下座してるフライヤーを作って、3000枚予約が取れたら作っても良いよ」と言われたこともあったとか。

 ヒップホップの文化には売れ線を「セルアウト」と嫌う価値観がある。おそらくクラブの現場に出入りし始めた当初は、ラッパーやDJから「アイドルがこんな場所に来やがって」みたいに言われたこともあっただろう。一方で、レーベルや事務所側としてもAAAとしての活動に専念してほしいという思いがあったはず。そんな周囲の偏見を一つ一つ、自分のスキルと本気度合いを見せることでオセロのようにひっくり返していったのが日高光啓=SKY-HIという男だった。

 そうして彼は2014年に1stアルバム『TRICKSTER』をリリースする。ツアーも行いセールスや動員の結果を出し、続けて2015年には『カミツレベルベット』『Seaside Bound』という2枚のシングルをリリース。さらにソロの知名度を広げ、いよいよ勝負作となる2ndアルバム『カタルシス』の先行シングルとして作られたのが、この『アイリスライト』なのである。

 興味深いのは、表題曲「アイリスライト」が彼のシングルとしては初のミドル・バラードとなっていること。そしてカップリングに『フリースタイルダンジョン』(テレビ朝日系)テーマソングの「Enter The Dungeon」がおさめられている、ということ。

 真っ直ぐな思いを描いた切ないラブソングの「アイリスライト」は、いわばJ-POPの王道のテーマ。そして「Enter The Dungeon」のリリックは、フリースタイルのMCバトルを、ダンジョンでのモンスターとの闘いになぞらえて描いたもの。つまり、メジャーとアンダーグラウンドの両方の「現場」に立ってきたSKY-HIならではの両面を示す2曲となっているわけである。

SKY-HI / アイリスライト

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