ネーネーズが語る、沖縄音楽の魅力と可能性「全国各地にネーネーズの種を植えたい」

ネーネーズが語る沖縄音楽とこれから

「一から自分たちで作り上げていくのは新鮮でした」(沖山美鈴)

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本村理恵

ーーでは、ニューアルバム『DIKKA(ディッカ)』について聞かせてください。オリジナルアルバムにはカバーアルバムとは違った手応えがあると思うのですが、制作はどうでした?

本村:楽しかったです。カバーアルバムのレコーディングも楽しかったんですけど、緊張のほうが勝ってしまっていたし、渚ねえ(上原)が「もっと楽しくやろう」って和ませてくれたりして。今回は自分から楽しくやれたし、前回に比べると、少し余裕が持てたのかもしれないですね。

ーー沖縄の音楽のテイストもたっぷり入っていますが、ラテン、ヒップホップなど多彩な要素が感じられる作品ですよね。特に印象に残った曲は?

本村:「好きにならずにいられない」(エルヴィス・プレスリーの名曲のカバー。沖縄詞は知名定男が担当)かな。「これを聴いておいて」ってエルヴィスの原曲を渡されたんですけど、もらった歌詞が沖縄の言葉だったんですよね。最初は「この曲を沖縄っぽく歌うって言われても…」って雰囲気がつかめなかったんですけど、お稽古のときに知名先生がすごくカッコ良く歌ってくれて。実際に歌うのはやっぱり難しかったですけど、いまはネーネーズのバージョンほうがシックリきますね。

沖山:そうやって一から自分たちで作り上げていくのは新鮮でしたね。歌う曲はすべて先生が決めてくれたんですけど、「うんじゅが情どぅ頼まりる」と「あなたに逢えて」「いろどり」は私が「歌いたいです」と推薦しました。「あなたに逢えて」と「いろどり」は世持が作った曲なんですよ。世持はもともとギターの弾き語りをやっていて、そのときに歌っていた曲なんですけど、私がすごく好きになってしまって。

世持:「あなたに逢えて」はいちばん最初に作った曲ですね。私はずっと音楽をやりたいという気持ちがあったんだけど、どうしたらいいかわからず、保育士の専門学校に通いながら「島唄」のスタッフとして働いていたことがあったんです。さっきも言いましたけど、ネーネーズのライブを見て「すごいな」と思っていたし、自分のなかでも「やっぱり音楽をやりたい」という気持ちが強くなって…。いまステージに立てているのも、人とのつながりのおかげだし、まずは出会った人たちへの感謝の気持ちを歌にしたいなって。この先もたくさんの人と出会うと思うし、そのなかでいろんなことを感じていくと思うんですよね。

上原:初めて聴いたとき、号泣しちゃったんですよ。今回のレコーディングでも泣いてしまったし、ステージで泣かずに歌えるか心配です(笑)。

世持:「いろどり」もネーネーズのライブを見て感じたことを歌にした曲ですね。もともと違う歌詞だったんですけど、いまのメンバーで歌うにあたって歌詞を変えようと思って。ひとりで書くのは苦戦しそうだったので、みんなに手伝ってもらいました。

上原:メンバーひとりひとりに色を当てはめていったんです。「この人はどういう人だろう」って考えて、観察して、それを歌詞にして。メンバーと改めて向き合う、いいきっかけになりました。

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沖山美鈴

ーー沖山さんにとっての印象深い曲は?

沖山:それぞれの曲に思いがあるんですが、前川真悟さん(かりゆし58)が参加してくれた「ちゃーびらさい」はおもしろかったですね。かなりユルい感じで始まったというか、私たちも知名先生もどんな感じで歌うのか把握してなくて(笑)、ぶっつけ本番でやってみたんです。

ーーネーネーズ流のヒップホップですよね、この曲は。

沖山:最初は「ラップってどんな感じ? “Yo!Yo!”っていうの?」なんて言ってたんですけど(笑)、真悟さんが入ってくれて、おもしろくてカッコいい曲になりましたね。これも沖縄の方言で歌ってるんですけど、内容もすごくおもしろいし、知名先生っぽいなって思いました。ふだんは怖い顔して冗談を言うから、笑っていいかどうかわからないんですけどね(笑)。もちろん稽古のときや指導するときは厳しいですけど、ふだんは優しいんですよ。私たちの意見もすごく聞き入れてくれるし…。レコーディングときに渚ねえが「ここはこう歌ったほうがいいんじゃない?」と話してるときも、あまり何も言わず、私たちに任せてくれることが多いんです。4人の意思を尊重してくれてるんだなって、このアルバムのレコーディングを通して改めて感じましたね。

ーーかりゆし58のメンバーとは、ふだんから交流があるんですか?

上原:大きい舞台でご一緒することもあるし、真悟さんは「島唄」にも何度も来てくれてますね。かりゆし58のライブのときも(開演前のSEとして)ネーネーズの曲をかけてくれてるらしくて。この前「『reborn』の音源を流していいですか」と連絡があったと聞いて、すごく嬉しかったですね。

ーーBEGINの島袋優さんも「島酒の唄」「うんじゅが情どぅ頼まりる」でギターを弾いています。「島酒の唄」はシンガーソングライターの大島保克さんの楽曲ですが、八重、宮古、沖縄の方言が使われていますが、本当に心に沁みる曲ですね。

上原:すごくいい曲だし、歌っていても気持ちいいです。宮古の方言は意味がわからないので、そこは勉強が必要でしたね。沖縄、八重山の歌は漢字が入ってるから何となく意味がわかるんですけど、宮古の民謡はぜんぶ平仮名で書かれていて、“す”や“き”に○(半濁音)が付いてたりするんですよ。異国の歌みたいですよ、ホントに。

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