YEN TOWN BAND、12年ぶり復活ライブで見せた「新しい可能性」とは? 柴那典が現地レポート

YEN TOWN BANDの「新しい命」

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photo by Yoshiharu Ota

 「農舞台」の特設ステージは円形で360度を見渡せるようになっている。その周囲を争奪戦となったチケットを手に入れた約1000人の観客が取り囲む。後ろ側には里山の自然が広がり、森や棚田の光景と、そこに展示されたアート作品が目に入る。

 開演時間となり、大歓声の中、小林武史とバンドメンバー、そしてCharaの計6人が登場。SEから、ドラム、ベース、ギター、キーボード、コーラスという編成で向かい合った5人のセッションを経て、Charaが中央に立つ。最初に歌ったのは「Sunday Park」だ。ピアノとギターのシンプルな演奏に乗せて彼女の神秘的な歌声が響いた瞬間、その場の空気がガラリと変わる。

 「Sunday Park」からロックテイストの「Mama's alright」へと続け、歌い終えたCharaは「久しぶり、YEN TOWN BANDです」と声をかける。そして、コケティッシュな「上海 ベイベ」を経て、この日初めてのMC。「みんな元気ですか? グリコです」と名乗る。拍手と歓声がそれに応える。純白のドレスに身を包んだ彼女は、終始、映画の中で『スワロウテイル』で演じた主人公の娼婦兼シンガーとしてステージに立っていた。そのことも強く印象に残った。

 「次の曲は、グリコが会ったことのないお母さんに向けて書いた曲です」と披露した「小さな手のひら」に続いては、映画の中でも重要な位置付けとなっていたフランク・シナトラのカバー「My way」。そして「まだタイトルは決まってないけれどーー」と披露した新曲。照明が暗くて歌詞が見えなかったのか、Charaが途中で演奏を止めて歌い直す場面もあったものの、思わず引き込まれるような壮大なバラードにオーディエンスが酔いしれる。

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