EXILEと福山雅治のチャートアクションに見る、「一族」と「ソロ」の方向性の違いとは?

 一方、3位となったEXILE『24karats GOLD SOUL』は9.0万枚のセールス。こちらは、世代交代が進むEXILE一族の中での「本体」のあり方を改めて築き直すような試みの見えるシングルとなっている。作曲を手掛けたのはSTY。昨年の大ヒット『R.Y.U.S.E.I.』をMaozonと共に手掛け、三代目 J Soul Brothersの本格的な人気拡大の決め手となったクリエイターだ。

 今年になり、三代目JSBはアルバム『PLANET SEVEN』がオリコン「2015年上半期ランキング」の1位となり、まさに天下を取った形となった。さらに7月にはSTYが世界的なEDMプロデューサーのAFROJACKと共に手掛けた「SUMMER MADNESS」をヒットさせている。

 ニューシングルの『24karats GOLD SOUL』も、このSTYが作詞と作曲を手掛けたナンバー。彼は過去に「24karats-type EX-」(2007年)、「24karats STAY GOLD」(2010年)というEXILEの楽曲に携わってきたわけだが、タイトルからも明らかな通り、その続編的な内容となっている。実際、「24karats STAY GOLD」と「24karats GOLD SOUL」はかなり共通項の多いサウンドだ。バウンシーなブレイクビーツを駆使したマッチョなヒップホップで、EDM路線で成功を収めた三代目JSBとは一線を画する曲調と言える。

 ちなみに、三代目JSBの1stアルバム『J Soul Brothers』のボーナストラックには、「24karats STAY GOLD feat. 三代目 J Soul Brothers」なるナンバーが収録されている。EXILEと三代目JSBが共演し「世代超えて受け継いでくスタイル」というリリックを歌ったナンバーだ。

 そして「24karats」は今年でパフォーマーを引退するMATSUが前身を立ち上げたブランド名でもある。EXILE一族をつなぐ役割を果たした「24karats STAY GOLD」と同じように、この「24karats GOLD SOUL」も、勢いの逆転した三代目JSBとEXILE本体を再接続する役割を課せられた一曲と言える。

 こうして考えてみると、人数を増やし世代を広げ「一族」を拡大しつつキーワードでそれを接続していくEXILEと、飄々と一人で25年トップに君臨し続けている福山雅治というのは、なんとも好対照でもあるなあ、と思った。

■柴 那典
1976年神奈川県生まれ。ライター、編集者。音楽ジャーナリスト。出版社ロッキング・オンを経て独立。ブログ「日々の音色とことば:」Twitter

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「チャート一刀両断!」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる