DAOKOが初ワンマンで見せた、育った街=渋谷との繋がり 振り幅の広い新曲群も多数披露

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(C)鳥居 洋介

 その後、Miliが手掛けた「ないものねだり」、國本怜(N.O.R.K)と共作した「JK」と続けたあと、MCでDAOKOは「渋谷についての曲。人やものがいっぱいあって、混乱してしまった様子を曲にしました」とボカロPのきくおと共作した「ゆめうつつ」を披露。同曲が終わり、バンドメンバーがステージ上へ戻ると、DAOKOは可愛らしく「バンドが揃って安心した。たまに調子が悪い時は周りの人やもの全てが嫌になる時があって。その感情は邪悪だけど、私は音楽に昇華できる。いつも支えてくれる音楽とバンドメンバー、皆さんとスタッフに感謝を込めて」と語り、PARKGOLFと共作した「嫌」を情感たっぷりに歌い上げた。

 本編最後の楽曲は、DAOKOが演奏前に「エモーショナルな感じになってる。そんなあなたたちにおくる、私からの応援歌です」と話した「きみ」。様々な吹き出しで歌詞をスクリーンに映し出しながら、疾走感のあるサビを軽快にラップで乗りこなし、DAOKOはステージを後にした。

 その後、観客のアンコールを受けて再度ステージへと上がったDAOKOは「こうなることは決まっていたわけですね(笑)。一人で喋ってるのが恥ずかしくなってきた、もっとクールなはずだったんですが…」と、初ワンマンでテンションの制御が難しいことを明かし、続けて「新しいシングルのリード曲は“アゲー!”な曲。ちなみに、『ShibuyaK』の『K』は交差点の『K』です」と前置きして同曲を披露。90年代渋谷系を彷彿とさせるJ-POPサウンドは、これまでになかったDAOKOの新境地といってもいいだろう。自らが育った街・渋谷に建つ名所を列挙しながら<何でもあるけど何にもないな この街じゃなくて私が>と空虚を歌うDAOKOと渋谷の繋がりは、新たな代表曲となるであろう同曲をもって、ますます強くなっていくことを予感させた。

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(C)鳥居 洋介

 バンドメンバーの紹介を終えたのち、「まだこれからなので、ずっと一緒に頑張りたい」と語って最後に演奏したのは、「水星」。DAOKOの名をポップシーンへ一気に広めた同曲で、彼女は記念すべき一日を締めくくった。

 様々な振り幅を見せた楽曲群で、より広い地平へ足を踏み入れることを予感させたこの日のパフォーマンス。DAOKOは新たなポップスの担い手として、これからも躍進を続けるだろうし、10月のシングルに収録される3曲は、その入り口として大いに機能することを確信できる一夜だった。

(取材・文=中村拓海)

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