世界が注目するbanvox、覚悟の音楽人生を語る「生きるために、僕は音楽をやらなくてはいけない」

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「もしかしたら『Laser』を超えた曲を作れたかもしれない」

――確かに、毎回どこまで壊してくるのかワクワクしながら聴いています(笑)。そして今回の『At The Moment EP』ですが、これまでの作品のなかで最も幅が広く、バランスの取れたものになっているという印象です。この振り幅は意識して付けたのでしょうか。

banvox:収録曲のなかでも、ゲストボーカルを迎えた「Crash」と「Wild」の2曲は、2014年の7月に作っています。7月はちょうど「Drop It Boy」や「Keep Clapping」を制作している時期で、そういった意味では似ている部分もあるかもしれません(笑)。「Keep Clapping」と「Crash」は、Twerkを128 BPMで作ったら面白そうだと思い、ノリで作った2曲ですね。あと、「Crash」はライブで毎回プレイするくらい気に入っている曲です。

――その2曲は、“スウェーデンのマイケル・ジャクソン”ことDarin(「Crash」)と、ヒップホップ・グループのThe 49ers(「Wild」)という、海外からのゲストボーカル勢を招いて制作していますね。彼らを起用することになった経緯とは?

banvox:僕が個人的にR&Bとヒップホップが大好きということもあって、R&B曲をずっと作りたかったんです。今回は縁あって「ダーリンという人を紹介できるよ」と言っていただいたので、僕のトラックを送らせてもらいました。すると、すごく気に入ってもらえて、あっという間にコラボしようという話になりました。その後、ダーリンさんにボーカルデータを送ってもらったら、デモの段階から相当良い曲になったぞと思いまして。ずっとライブでプレイしていて、リリースした今も、ライブにおいてはデモバージョンを掛けることが多いです。

――「Wild」で起用したThe 49ersは、メロウなラップを得手とするグループですよね。しかし、今回はドープなトラックを作って、banvoxさんの世界に引き込んでいます。

banvox:自分はワルっぽいテイストのヒップホップが好きなので、そこに合わせてトラックを作りました。そこからラップを乗せる人を探していたところ、エージェントにThe 49ersさんを紹介してもらったんです。彼らがリリースしている曲との雰囲気の差に関しては「大丈夫かな」という不安がありましたが、トラックを送ってラップしてもらったものを聴いたら、すごく良い感じに乗せてくれていたので嬉しかったです。

――この曲については、以前に「初めてのヒップホップ曲」とツイートしていましたよね。ヒップホップ的なトラックはこれまでもあったと思うのですが。

banvox:「自分のトラックに、ラップが乗っかったものをリリースするのは初めて」という意味ですね。インターネット上にフリートラックとしてアップし、ラップを乗せてもらうことはありましたが、リリースに至るものはこれまでありませんでした。

――なるほど。そして表題曲は以前にリリースした「Connection」のボーカル素材を使っているそうですね。

banvox:はい。「Connection」と同じボーカルの方が歌っている素材を3曲分使いました。もともとは1つだけで進める予定でしたが、2つアカペラが乗った方が面白いかと思ったので。でも、まだ物足りなかったので、「Connection」のアカペラをそのまま足しました。だからよく聴くと「Connection」で聴こえる声と同じものがあるんです。あと、これらの素材を全部カットアップして1曲に聴こえるようにしたのは手間が掛かりました(笑)。

――先行でシングルリリースしていた「Summer」は、清涼感のあるトラックにハイピッチなカットアップボーカルが乗っている、banvox史上一番開けた曲だと思いました。

banvox:この曲は自分の中で「原点回帰プラスアルファ」と位置付けています。「Summer」を作る前、アルバム用の曲を全て仕上げたところで、何をつくればいいのかわからなくなってしまった時期がありまして。原点回帰をしようと思い、初期の『Intense Electro Disco』、とくに「Laser」に近い感覚を意識して、150 BPMという速さにしながら、久しぶりにボーカルカットアップをして、「Summer」が生まれたんです。直近までは僕へ「Laser」から辿り着く方が多かったのですが、ここ数ヶ月は「Summer」から入る人がかなり出てきているくらい好評で。リスナーの皆さんにとっても、もしかしたら「Laser」を超えた曲を作れたかもしれないと思ったりしています。

――あとはリリース以前からSound Cloudでデモを公開していた「Lets go」ですね。

banvox:この曲と「Summer」は明るいテイストだったので、EPの後ろの方へ向かうにつれ、徐々に明るくなっていくような曲順にしました。このEPはみなさんから面白い反応が色々返ってきて嬉しかったです。GoogleのCM曲から入ってきた人が聴いてビックリしてくれたりとか。

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