ゴールデンボンバー、ノーマルな販売手法でチャート1位 その快挙が示す音楽シーンの現状とは?

 さて、今作『ノーミュージック・ノーウエポン』で注目すべきは、そんな攻めに攻めてきたゴールデンボンバーでさえも、ここにきてその攻撃の手を休めているということ。『ノーミュージック・ノーウエポン』はCD+DVDとCDの2種リリース、初回限定盤や購入特典はなしという、極めてノーマルなリリース形態となっています。それについて鬼龍院翔は「去年から色々と売り方についてやってみましたが、エアーバンドとしてはこの2形態くらいに落ち着くのが一番かな、と思いました」と自らのブログに書いています。それに続いて「でもまた、ファンのみんなを困らせず楽しいこととか変なことが思いついたらやります」とも書いているので、この先もまたトリッキーな手法でのCDリリースはあるかもしれませんが、今回の件で自分が思ったのは「もうミュージシャンにとってCDの売上げチャートというのは本当の闘いの場ではないんだな」ということ。ここ数年いろんなところで、いろんな発言がされているように、(特にシングルの)チャート上位の大部分を占めているのはお馴染みの面々による複数商法や特典商法に支えられた作品。そして、もはやその良し悪しを語る段階を超えて、リスナーを取り巻くリスニング環境は特に今年に入ってからのサブスクリプション・サービスの活性化によって加速度的に変化してきています。そんな中、インディーズという比較的自由な立場で闘ってきたゴールデンボンバーは、ここで一端、刀を鞘に収めてみせた。その上で、オリジナルアルバムでちゃんと初の1位をとってみせたのだから、これは快挙と言ってもいいのではないでしょうか。

■宇野維正
音楽・映画ジャーナリスト。音楽誌、映画誌、サッカー誌などの編集を経て独立。現在、「MUSICA」「クイック・ジャパン」「装苑」「GLOW」「BRUTUS」「ワールドサッカーダイジェスト」「ナタリー」など、各種メディアで執筆中。Twitter

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