動員力と“2016年問題”にみる、アイドルとコンサート会場の関係 鍵を握るのは「地方アリーナクラス」?

「2016年問題」をアイドルたちは乗り越えきれるか

 一部では、2020年の東京オリンピックに向けての改修工事を主な理由として、関東のアリーナクラス、ホールクラスの改修工事、建て替えが2016年にピークを迎えるといわれている。決定しているだけでもさいたまスーパーアリーナ、横浜アリーナ、渋谷公会堂、青山青年館などが挙げられ、代々木第一体育館、日本武道館、中野サンプラザなども改修工事や建て替えの予定があるようだ。この「2016年問題」によってどのような問題が生じてくるのか。

 まずはアリーナクラスの会場が関東の中で減ってしまい、安定して同クラスを埋められるものの、ドームまではまだ及ばないグループや、念願の武道館公演を終えて次のステップへ進もうとしているアーティストたちのための会場が一時的に減り、取り合いになってしまうこと。そして同時に、Zeppクラスからアリーナクラスへと上り詰めようとしている発展途上のグループも同様の状況に直面することになるのである。ライブアイドルが中心の今、単純にライブが出来なくなってしまうことは大きな痛手だ。そうなると彼女たちに残された道はやはり地方への進出ということになる。ただ、関東で武道館が出来るからといって、大阪城ホールや名古屋の日本ガイシホールといったアリーナクラスで同じような集客が臨めるとは限らないし、必要に応じて会場規模を落とすことも考えなければいけないだろう。それでも地方公演を組んでいかないといけないのは、前述の通り「ライブが出来なくなってしまうこと」それ自体が大きな痛手であり、この関東のライブ会場が足りなくなるという問題は、アイドルに限らず全てのアーティストに共通の問題になってくるからだ。

 ツアーのスケジュールは約1年前から組まれ始まるので、ちょうど今ごろ来年に向けてツアーのスケジュールなどが協議され始めているかもしれない。来年こそはアイドルブームは終わるだろうと言われて久しいが、結局AKB48は最新シングル『僕たちは戦わない』で過去最高の初動売上枚数を記録しているし、PerfumeとBABYMETALは海外での活動の幅を広げ、ももいろクローバーZを要するスターダストプロモーションが売り出す新人たちは、驚異的なスピードで成長している。アイドルは一過性の「ブーム」から一つの「文化」になろうとしているという声も聴こえてきているが、とは言え全国区の人気を集めるアイドルグループの数自体はまだそれほど多くはない。次にスターダムを駆け上がるのは果たしてどのグループか。カギを握るのは「地方」だ。

■ポップス
平成生まれ、音楽業界勤務。Nogizaka Journalにて『乃木坂をよむ!』を寄稿。

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