マーク・ロンソン×DJ KAORI 日米のトップDJが語るクラブシーンの20年

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――当時と今では、パーティ・シーンは変わったと感じますか?

KAORI:ニューヨークのクラブシーン、とくにダウンタウンのシーンは変わったんじゃないかな。かつては音楽を求めに毎晩お客さんが集まっていたけれど、今じゃパーティの派手な部分や、いかに自分がファンシー(=イケている)か、一晩にどれだけのお金を散財できるか、そんなことばかりが重要視されているように思いますね。あとは、どれだけ上手にセルフィーできるかとか(笑)。

マーク:今じゃセルフィーだけじゃ飽き足らず、流行りのラップ・チューンがかかると自分も一緒にラップする動画を延々と自撮りするお客さんもいるくらいだからね。ちょっとクレイジーだよ。もちろん、クラブはみんなが楽しむ場所だけど、かつてはアーティストやラッパーの他にもスケートボーダーやドラッグディーラーなんかが集まる、ちょっと特別な場所だったんだ。そんなところでDJができることも、とても特別なことだった。昔はザ・ノトーリアス・B.I.G.(ビギー)とジェイ・Zが白いピンプハットでバッチリ決めて来たこともあったしね。

――今はおふたりともニューヨークを離れ、マークはロンドン、KAORIさんは東京を拠点していますが、やはり土地ごとにパーティのスタイルは異なりますか?

マーク:ニューヨークには独特の雰囲気がある。ロンドンにはあまりヒップホップに特化したクラブがないんだ。その代わり、あらゆるダンス・ミュージック、例えばベース・ミュージックのシーンなんかが発達していて、とても興味深い部分はある。そういえば、しばらく東京でDJしていないけど、東京の様子はどう?

KAORI:東京のクラウドも最近はフロアで踊って盛り上がってくれるお客さんがすごく増えたと思いますね。ありがたいことに、パーティ人口が格段に増えた。やっぱりEDMとか、わかりやすくコマーシャルなものが受けている感じかな。

――互いに20年近く、DJ以外にもプロデューサーやビートメイカーとしても活躍しながらキャリアを築いてきたわけですが、どうやってモチベーションを保っているのでしょうか?

KAORI:音楽への愛あるのみ、って感じかな。私の趣味でもあるし、純粋に音楽が好きという気持ちでここまで来ましたね。

マーク:僕も同じさ。実際に、前作のアルバム『Version』はあまり売れなかったから、新作『UPTOWN SPECIAL』はどうなるだろうって不安だったんだ。でも、次の作品を作るには、スタジオに戻ってプロデュース業に集中するしかない。何をしたらいいんだろう? と迷っていたけど、「自分が好きな音楽を作ればいいじゃん」と納得して制作に取りかかったんだ。だからKAORIが言う通り、自分の好きな音楽が一番の原動力になっていると思うよ。

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