秦 基博から清 竜人まで……「ミュージシャンも惚れる美声」ガイド

ハナレグミ

 肩ひじ張らないユルさと温かみのある声で、老若男女問わず人気を集めるハナレグミ。一昨年にリリースしたカバーアルバム『だれそかれそ』では、その天性の歌声を、名曲のカバーというかたちでいかんなく発揮。どんな楽曲を歌っても自分の色に染めてしまう力はさすがだった。もはや「この声、世界遺産。」という他を圧倒するキャッチコピーも伊達ではない。スカパラやEGO-WRAPPIN'の中納良恵、SUPER BUTTER DOG時代からの盟友・レキシらからのコラボオファーに事欠かないことからも、アーティスト陣からのリスペクトの様子がうかがえる。

ハナレグミ - オリビアを聴きながら with 東京スカパラダイスオーケストラ

清 竜人

 異色アイドルグループ「清 竜人25」のプロデューサー兼メンバーとして、ある種イロモノぶりに拍車をかけている清 竜人。そんな彼だが、デビュー当初は真逆のアコースティックかつ歌モノ路線をまい進していた。切なく、時に悲痛なほどのハイトーンボイスが印象的な歌い手で、その声に魅了されたという音楽関係者は多い。特に椎名林檎は“人間国宝”とまで評しているほど。今ではその型破りなパフォーマンスが話題が集まりがちだが、自身のパートではきちんといい声ぶりをアピール。再び歌モノ界に戻ってくる日を心待ちにしているファンは多いはず。

清 竜人『痛いよ』

 声の良さは体格や声帯の使い方に依存する、天性のもの。加えて、いい声というのは人にリラックス効果を与えるものとされ、印象にも残りやすいのだそう。ここに挙げたシンガーたちも決して頻繁にテレビで見かける顔ぶれではないが、その分、ラジオや有線などではパワープレイを獲得したりと、強さを発揮してきた。聴くメディアでの波及効果が高いのも美声シンガーならでは。さらには声に敏感な同業者たちが太鼓判を押したとなれば、その力は証明されたようなものである。聴く者の心をつかむ美声には、ミュージシャンであっても抗えない魅力があるということだろうか。

(文=板橋不死子)

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