ハロプロ楽曲シーンに新たな局面か? 新参加コンポーザーたちを概観する

作曲または編曲

川辺ヒロシ

アンジュルム「乙女の逆襲」作曲(上田禎と共同)
Juice=Juice「Ça va ? Ça va ?(サヴァサヴァ)」作曲(上田禎と共同)

上田禎

アンジュルム「乙女の逆襲」作曲(川辺ヒロシと共同)
Juice=Juice「Ça va ? Ça va ?(サヴァサヴァ)」作曲(川辺ヒロシと共同)

 ヒップホップをベースとしつつ、ジャンル定形にとらわれない音楽を展開している3人組グループ・TOKYO No.1 SOUL SETでトラックメイキング担当なのが川辺ヒロシ。アイドルへの楽曲提供は今回が初。

 上田禎は音楽プロデューサー/劇伴作曲家。秦基博やRie fuのプロデュース、映画『NANA』『ホームレス中学生』『東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜』などの劇中音楽を担当。

 川辺と上田両氏の共同作業は、小泉今日子の2012年アルバム『Koizumi Chansonnier』の中の一曲で共同編曲(トラック制作)を行ったことはあったが、一緒に作曲をするのは「乙女の逆襲」が初とのこと。

CMJK

アンジュルム「乙女の逆襲」編曲
Juice=Juice「Ça va ? Ça va ?(サヴァサヴァ)」編曲

 電気グルーヴのメンバーとして1991年にメジャーデビュー。その直後に脱退し、エレクトロ・ポップの「Cutemen」、テクノ・ロックな「CONFUSION」といったユニットを経て、活動の主軸をサウンドプロデュースへ移す。浜崎あゆみ、SMAPなど関わった作品は多数。

 近年はチームしゃちほこ「尾張の華」「シャンプーハット」「天才バカボン」の編曲など、現代アイドルファンへの認知度も高まってきている。また、東京パフォーマンスドール(1990-1996活動の方)の姉妹ユニット・TPD DASH!!「東京ハッカーズナイト・グルーヴ」の作曲・編曲をCM-500JKという変名で当時手がけていたが、それから10数年後、復活した現在の東京パフォーマンスドールのレパートリーとして同楽曲が再び歌われているというのも面白い事例である。

 そして、前述の川辺ヒロシが「乙女の逆襲」の編曲を依頼したのが、共に90年代の音楽シーンを駆け抜けた盟友のCMJKだったというのは、元々交流があったという事実はあるにせよ、当時普通にソウルセットや電気を好んで聴いていた筆者のようなアラフォー世代にとってはインパクトの強い出来事だった。

アンジュルム「乙女の逆襲」

加藤裕介

カントリー・ガールズ「愛おしくってごめんね」作曲、編曲(A-beeと共同)

 音楽制作会社「プークス」所属。大阪音大を出ていて、クラシックのバックボーンを持つ。水樹奈々「禁断のレジスタンス」(作曲・編曲)、嵐「One Love」(作曲)、V6「蝶」(作曲・共編曲)など参加楽曲多数。

 過去のハロプロ提供曲はHI-FIN「海岸清掃男子」(作曲・編曲)。

A-bee

カントリー・ガールズ「愛おしくってごめんね」編曲(加藤裕介と共同)

 音楽プロデューサー/DJ。2007年よりダンス&エレクトロ・ミュージック寄りのアルバムを多数リリースしているほか、元気ロケッツやMAKAI、アニソン関連へ楽曲提供。

 過去のハロプロ提供曲はBuono!「ガラクタノユメ」(作曲・編曲)。

カントリー・ガールズ「愛おしくってごめんね」

村カワ基成

カントリー・ガールズ「恋泥棒」作曲

 山形出身の作曲家。2000年代頃はナイス橋本の楽曲を「エンジョイ村カワ」名義で共作、平行して「ホワホワP」名義でニコニコ動画内での活動などを行っていたが、近年はアイドル楽曲の制作がメインになっているようだ。

 主な提供曲にBABYMETAL「ド・キ・ド・キ☆モーニング」(共作曲・共編曲)、でんぱ組.inc「BEAM my BEAM」(編曲)、バンドじゃないもん!「お姫様ごっこ」(作曲・編曲)、チームしゃちほこ「もーちょっと走れ!!!」(作詞・作曲・編曲)、虹のコンキスタドール「トライアングル・ドリーマー」(作詞・作曲・編曲)等。

 ハロプロへの楽曲提供は「恋泥棒」が初となる。

カントリー・ガールズ「恋泥棒」

KOUGA

℃-ute「我武者LIFE」作曲(クレジットは「KOUGA supported by SHOCK EYE」)

 前述の『musicるTV』企画「ミリオン連発音楽作家塾」にて、℃-uteへの楽曲提供権を勝ち得たKOUGA。現役音大生で、メイン楽器はピアノ。女性ボーカル&ピアノ2人組ユニット「PeaPonTail」の一員としてもアーティスト活動中。

soundbreakers

℃-ute「我武者LIFE」編曲

 八王子出身のミュージシャン・大野裕一による別名義または音楽制作グループ。湘南乃風、FUNKY MONKY BABYS、ナオト・インティライミ、CHEMISTRY、MINMIなどプロデュース/アレンジ業務多数。

 ハロプロではこの「我武者LIFE」編曲が初参加となる。

クラッシャー木村

℃-ute「次の角を曲がれ」ストリングスアレンジ

 女性ヴァイオリニスト。1993年、ヴァイオリン×2・ベース・キーボードという編成の女性4人組グループ「芍薬」の一員としてデビュー。「O.K.String Quartet」「SJS(スーパージャズストリングス)」といったグループでの活動歴もある。

 J-POPアーティスト曲のストリングスアレンジを多数手がけており、いきものがかり「ブルーバード」、ケツメイシ「旅人」、東方神起「Stand by U」、supercell「ブラック★ロックシューター」、EGOIST「Departures 〜あなたにおくるアイの歌〜」など挙げていくとキリがない。

 ハロプロにおいては、ストリングスアレンジ担当はこの「次の角を曲がれ」が初だが、実はモーニング娘。の2010年シングル「女が目立って なぜイケナイ」に演奏で参加しており、間奏で優美なヴァイオリン・ソロを聴かせてくれている。また、℃-ute「次の角を曲がれ」「我武者LIFE」にも演奏参加しているようだ。

高取ヒデアキ

モーニング娘。'15「イマココカラ」作曲

 歌手および作詞・作曲家としてアニメソング/特撮ソングの多くを手がけている。前述の青木久美子と共に、プリキュアシリーズ関連曲への参加も多数。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる