UQiYOが語る、音楽を“体験”する意味「『ひとりの人に届けるパーソナルな音楽』を作る」

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「みんながハッピーでいられるような形を目指したい」(Yuqi)

――では、さまざまな趣向を凝らした届け方も、パーソナルな体験を生み出すためのきっかけ作りだと。

Yuqi:そうだと思います。例えばボトルを使った届け方に関しては、秋口に注文してくれた方の手元に届くように、柑橘系の香水とQRコード付きの手紙を入れました。香りを柑橘系にしたのは、「夏に作って、秋に届くように海に投げました」という設定で作っていたからです。実物に関しては、ボトルを開けたら少し夏の香りがして、手紙を取ると、中にQRコードが入っていて音楽が聴ける。その体験っていうのが、音楽には大事なのかなと思い、やってみた企画ではあります。ボトルは買ってきたものをエイジング加工したり、コンクリートに擦り付けたりして、百本限定で作ったものは、ありがたいことにすぐ売り切れました。

――かつては、「音源が全てを支える」という考え方が音楽ビジネスの根本にありましたが、今はそうとは言い切れない状況があります。そんな中、改めてアルバムと向き合って「作品を作る意味」についてどう考えますか。

Yuqi:僕らは、やはりまだポピュラリティーとしての力が弱いので、どれだけ面白いことをやろうとも、それを知ってもらうことが難しい。ただ、これをみんなに伝えるのが僕らの仕事であり、なにより一緒に僕らとやってくれている方にも申し訳がない。なので、そのためには気合を入れて、見つけてもらう数を増やしたい。そういったことが今回のアルバムの位置づけなんです。

Phantao:今回のアルバムは音楽的にも開放されているものなので、そういう意味でいろんな人に聴いてほしいです。

Yuqi:こんな音楽もあるんだよ、こんな映像もあるんだよっていういろんな人への投げかけという意味もありますね。あと、音源って僕らにとって広告の一つでもあると思うんです。僕らのファンクラブには、『ウキヨノヲト』というサービスがあって、加入すれば僕らの音源を過去作から聴き放題ができる。ただ、今作をいきなりタダで配信しちゃうかといえばそうではなく、次のアルバムが出た時に前のアルバムのやつをタダで出すとか、そういう仕組みをちょっと作って、みんながハッピーでいられるような形を目指したいですね。

――それがまたファンクラブ加入のきっかけになってくると。Spotify をはじめとしたサブスクリプションサービスは大変便利ですが、あれは公衆=パブリック的な意味合いを持つサービスという捉え方でしょうか?

Yuqi:まさに、まさに。かといってね、不便にすればいいっていうものではないじゃないですか。なので、携帯端末でアクセスすれば聴けるというものなどにしていくと良い落としどころになるのかもしれません。

Phantao:何でも簡単に聞けちゃうと、そんな聞かなくなりますよね。(後編【UQiYOが実践する、新しい音楽の届け方「ライブハウス以外でもやれる場所はたくさんある」】に続く)

(取材・文=神谷弘一、中村拓海)

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UQiYO『TWiLiGHT』

■リリース情報
『TWiLiGHT』
発売:3月18日(水)
価格:¥2,315 (税抜価格)+税

<収録内容>
1. Dawn of Life
2. Twilight
3. Blessing
4. June
5. Summer Sun
6. THYLUV
7. Saihate
8. Snow White
9. Arakawa
10. Drums of Atacama
11. Dirtball
12. Dessert Flower
13. Ordinary Scene
14. Into the Cove
15. Under Skies of Heaven

■ツアー情報
『2015 Tour TWiLiGHT~夕陽と雨と虹とキラキラと~』

4/25(土)名古屋 夜空に星のあるように
4/26(日)三重 四日市MONACA
4/29(水)福岡 TAGSTA
5/6(水)札幌 provo
5/16(土)山梨 酒蔵櫂
5/17(日)静岡 cafe sofari
5/18(月)京都 さらさ花遊小路
5/19(火)大阪 梅田シャングリラ
5/29(金)宮城 co-ba kesennuma
5/30(土)仙台 arrondissement
5/31(日)群馬 桐生Club Block
6/13(土)東京 SHIBUYA O-nest

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