怒髪天・増子直純が明かす31年目の決意「言い訳は通用しない。そういう場所でいよいよ勝負したい」

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「文学的な言い回しとか難しい比喩とか、俺はロックに必要ないと思ってる」

一一当サイトでは「怒髪天の歌はなぜ心に響く?」という分析記事がありました。より人の心に響くために、人の心を打つために、ということは歌詞を書くときに考えますか。

増子:いや、人の心を、っていうふうには思わんね。話す時と一緒。相手に向かって話をしてる前提で書くだけで。それは自分に向かって話すことでもあって、そうなると、なるべく伝わるように。心を打つためじゃなくて、俺が言ってることをわかってもらうために、ってことしか考えてない。

一一それは、わかりやすくする、という意味ですか。

増子:それもあるし、俺が感情を込めやすい言葉を選ぶってことでもある。

一一ああ。使わないけど格好いい単語を持ってきても、感情は入らない。

増子:絶対入らないよ。それってすごい中二っぽいよね(笑)。覚えたての言葉……「邪眼!」とか言っちゃうような(笑)。そんなのはもういい。普通に使ってる言葉で全然いいと思うし、いわゆる平易な言葉の中に、自分の想いとか歩いてきた道とか経験をどのぐらい盛り込めるかが勝負だと思ってる。

一一つまり、わかりやすさとは「共感しやすさ」ではなくて「自分の話しやすさ」だと。

増子:ほんとにそう。もともと俺は堅苦しいものが好きじゃないんだよね。変に文学的な言い回しとか難しい比喩とか、俺はロックに必要ないと思ってる。もちろんどんな表現でも自己満足は何%か入ってくるけど、そこで完結しちゃイカンとも思う。俺はこんだけ一生懸命やって完成度の高いものを作ったぞ、と思っても、それをちゃんと渡す作業がその後にはあって。こちらが100%いいと思ったものを100%で渡せなかったら、それはこっちの力不足なんだよね。もちろん好き嫌いはあるよ。ラーメン食いたい時にどんだけ旨いカレー出しても「やっぱラーメン食いたかったわ」ってことになるから(笑)。こればっかりはしょうがないんだけど。

「自分たちから面白いことをやっていく。それは怒髪天の通常営業」

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一一「ひともしごろ」が最高のカレーだとしたら、次の怒髪天は、なかなかクセのあるラーメンを用意していることになりますね。『酒唄傑作選~オヤジだョ!全員酒豪~』っていうコンピアルバム。

増子:そうだね。とりあえず「全員酒豪」っていうのを言いたいがために作ったような(笑)。ただ、今までもお酒をテーマにした歌がけっこう多かったから。だったらそれをまとめて、あとは新曲と「日本全国酒飲み音頭」をカバーしようと。怒髪天のお酒の歌、好きな人が多いからね。

一一この企画は増子さんから出したものなんですか。

増子:そう。でも前からやろうと思ってたの。ただ、どのタイミングでやるのかっちゅう話もあって。30周年の記念でコレはないだろうっていうのもあったし、じゃあ今かなと。これは耳から呑むお酒だからね(笑)。

一一そして先日はさらにお祭り感のあるイベントも告知されました。「大怒髪展2015」、歌の歓楽街!

増子:そう、去年『大怒髪展』を一ヶ月やったでしょ? あれをイベントとしてまたやろうと。スクービー・ドゥーとSAがゲストに出ることは決まってて、あとはうちに八代亜紀さんがのっかるっていう。「歌の歓楽街」ってことで、演歌勢とか歌謡曲に寄ったものをバシッといい感じに呼びたいなと思ってて。あとは出店とかね。せっかくだから変わった催し物をやろうかなって。

一一昨年タワーレコードで行われた「大怒髪展」は30周年記念の一貫として行われたものですよね。せっかくだからお祭りっぽくということで、提灯があったり櫓が組まれたり。

増子:そう、それが意外と面白かった(笑)。味しめたっていうか、こういう催し物もけっこう可能性があるなぁって。思った以上にみんなが楽しんでくれたのも大きいね。何かしらテーマがひとつあって、それに準じた催し物を企画していく面白さ。手作り学園祭じゃないけど。それは去年やってみて実感した。自分たちの体で稼働していく楽しさもあるし。

一一ライブ以外の試みがいいですね。今のところ資料に書かれているのは「全国各地のご当地グルメ」「トークショウ、はたまた人生相談まで」。こういう企画は、自分たちでフェスを作る感覚に近いですか? それともまた別のイメージ?

増子:フェス……っつうよりは学祭だよね(笑)。「村祭りやるぞ!」っていう感覚に近いかな。いわゆる音楽フェスじゃないと思う。すでに方向性が多様になりすぎてるもん。アホみたいな案がすでにいっぱいあって、どのぐらい実現できるのかっていう。それは純粋な楽しみだよね。なにしろ自分たちから面白いことをやっていく。それは怒髪天の通常営業だから。

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