「ビクターロック祭り」は今年も熱かった 長山洋子から星野源まで全ステージ詳細レポート

スガ シカオ

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 続いて登場したのは、スガ シカオ。デビューから18周年を迎えたキャリアの持ち主だが「2011年に一人になって、2014年にビクターのスピードスターに拾っていただいて、再デビューしました」と“新人”としての登場だ。彼が見せてくれたのは、代表曲からファンク・ナンバー、新曲まで、ミュージシャンとしての底の深さを見せてくれるようなステージだった。

 アコースティックギターを抱えての「progress」からライブはスタート。バンドの演奏が加わり、代表曲「19才」をサンプリングやデジタルビートを加えてエレクトロにリビルドしたバージョンも披露。

 さらには、スガと同じくビクターに所属するFIRE HORNSが加わり「コノユビトマレ」を披露。「今日はロックフェスだけど俺たちは存分にファンキーな音楽をやらせてもらうぜ!」と、「俺たちファンクファイヤー」「バナナの国の黄色い戦争」をプレイし、濃度の高いファンクでオーディエンスを踊らせる。

 「この後は俺もみんなに混じって音楽を楽しみたいと思います」と、この日の後に出演する面々に触れ、最後には最新曲「モノラルセカイ」を歌った彼。エモーショナルな歌声でオーディエンスを掴み、豊かで貪欲なミュージシャンシップを感じさせた。

ハナレグミ

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 セットチェンジ中のサウンドチェックから、前の方のお客さんに話しかけたり「スガ シカオさん、『夜空のムコウ』やってほしかったなあ」と独り言のように語ったりと、かなり自由なムードを醸し出していた永積タカシ。ハナレグミのステージは、肩の力の抜けた洒脱さ、ゆったりと揺れる波のようなグルーヴに身を任せる心地よさを感じさせてくれるものだった。

 先ほどのレキシのステージにも登場していた真船勝博(B / FLOWER FLOWER)、伊藤大地(Dr / SAKEROCK)の2人に原田郁子(Key / クラムボン)を加えたバンドメンバーと共に、ふらりと現れた永積。まずは伸びやかな声で「360°」を歌い、そのまま「今日の暦を確かめてくるの忘れちゃったけど、こんなに集まってくれたんだから大安だよね」と、「大安」を披露。永積タカシの自然体の歌声に、原田郁子のピアノと声が寄り添う。

 染みわたるような繊細さに満ちた「光と影」、カントリー調の楽曲に朗らかさを感じさせる「明日天気になれ」と続け、幸福感たっぷりの空気を作り上げた彼。レキシ、ハナレグミ、そしてこの後に登場する星野源が同じSPEERSTAR RECOREDSに所属しているということは、この日の「ビクターロック祭り」のムードの一つのキーになっていたはずだ。

 「あいのわ」を歌い終えた永積は「音楽を好きでいてくれてありがとうございます」とオーディエンスに告げ、「そんなみなさんに送るこの曲」と最後に「きみはぼくのともだち」を歌う。とてもピースフルな時間を生み出していた。

キュウソネコカミ

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 続いてはキュウソネコカミが登場。セットチェンジ時のリハーサルから全力でプレイすると、ハナレグミから雰囲気はガラリと変わり、若いファンが前方に詰める。

 この時間帯はメインステージの隣にて「宴会場アクト」としてDJダイノジが鉄板のプレイを見せ、先ほど出演を終えたばかりのレキシや、ビクターのマスコット犬「ロック」が飛び入り参加するなど大きな盛り上がりを見せていた。入れ替わりで彼らの本番が始まると、DJダイノジの場所から走ってくるお客さんも多数。KEYTALKと同じくこの日の出演陣の中では若手にあたる5人組バンドの彼ら。見せてくれたのは掟破りの痛快なパフォーマンスだった。

 BON JOVI「禁じられた愛」のSEに乗せ、まずはヤマサキセイヤ(Vo, G)が観客の上に乗っかり登場。「ウィーアーインディーズバンド」から「良いDJ」、「ファントムバイブレーション」と高速テンポのナンバーを連発。「スマホはもはや俺の臓器!」のフレーズを大合唱する場面も見せる。

 「ビクターに入れて本当によかったです」と語ったヤマサキは、続けて「こうして大きいステージに立ったり全国ツアーすると『遠くにいっちゃった』って思うヤツもいると思うけど、次の曲では物理的に近づいて行こうと思います」と語り、「DQNなりたい、40代で死にたい」を披露。「ナウシカタイムや!」とオーディエンスに身体をあずけ、クラウドサーフでフロア中央まで転がる。

 新曲「ハッピーポンコツ」から、ラストは「この曲はビクターについて作りました」と「ビビった」をプレイ。シニカルな毒と、背中合わせの熱いエモーションを放っていた。

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