℃-ute×DLH×武藤彩未×さくら学院の“対バン”に見る、アイドルカルチャーの可能性と醍醐味

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熱いコール&レスポンスで、アイドルのライブの楽しさを存分に伝えたDorothy Little Happy。

 武藤のパフォーマンスの興奮もさめやらぬうちに、その後は宮城県は仙台市からやってきた5人組ガールズユニット・Dorothy Little Happyが登場。Dorothy Little Happyは、2011年に出演した『TOKYO IDOL FESTIVAL 2011』でのパフォーマンスが一躍脚光を浴び、その名を全国区に知らしめた実力派として知られる存在で、観客たちの期待値も高い。清楚な雰囲気とキレのあるダンスパフォーマンスが同居した「My Darling」から幕を開け、ロック色の強い「2 the sky」、そして代表曲である「デモサヨナラ」へと、テンションを一気に上げて行く彼女たち。「好きよー!」「オレモー!」のコール&レスポンスもバッチリ決まり、会場は一体感に包まれる。また、MCではタワーレコードのキャッチコピーである「NO MUSIC, NO LIFE」を、自分なりにもじったコピーをそれぞれ披露して、同社の35周年を祝った。

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イベントのトリを飾った℃-ute。

 トリを飾ったのは、結成10周年に突入し、いまやアイドル界の第一線を走るグループへと成長した℃-ute。メンバーの矢島舞美は、来年からモーニング娘。'14の道重さゆみからハロー!プロジェクト全体のリーダーを引き継ぐことも決定している。さらなる飛躍が期待されるタイミングとあって、彼女たちが登場するやいなや、会場からは怒号のような歓声が上がった。色とりどりのサイリウムが会場を包む中、挑発的でダンサブルなナンバー「都会っ子 純情」「アダムとイブのジレンマ」を続けて披露。セクシーかつクールなフォーメーションダンスと、メンバーそれぞれの個性が際立つボーカルは、圧倒的にクオリティが高く、ハロプロの中核を担うグループとしての貫禄さえ感じさせる。続く「I miss you」と「THE FUTURE」は、11月19日にシングルリリースされたばかりの新曲。「I miss you」は、3つの異なるメロディと歌詞を同時に歌うことで、揺れ動く乙女心を表現した複雑かつ斬新な楽曲で、現在、多くのアイドルファンを驚かせている“難曲”だ。しかし、メンバーたちは完璧に歌いきり、アイドル表現の次なる可能性を存分に感じさせるパフォーマンスとなった。また、ライブ中盤では「世界一HAPPYな女の子」や「大きな愛でもてなして」といった、かわいらしいアイドルポップスも披露、その表現の幅広さを見せた。そして後半では「Danceでバコーン!」「JUMP(2012神聖なるver.)」と、再びダンサブルでアッパーなナンバーで盛り上がり、およそ3時間に渡るライブは幕を閉じた。

 “成長期限定ユニット”から、グループ卒業後の“ソロアイドル”、気鋭の“地方アイドル”に、ハロプロの中核を担う“ベテランアイドル”まで、現在のアイドルシーンを成長段階ごとに俯瞰していくような出演陣で、アイドルカルチャーの醍醐味と、その表現の可能性を感じさせた今回のイベント。パッケージの販売だけでなくインストアイベントにも力を入れ、音楽業界全体の活性化にも貢献してきたタワーレコードの、さらなる“成長”にも期待していきたい。

(取材・文=松下博夫/写真=埼玉泰史)

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