ゲスの極み乙女。がフリーワンマンライブで見せた表現の強さ 新曲群がもたらした“緩急”とは

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 7曲目にはアルバムのファーストトラック「ラスカ」を披露。<言えない嘘は真実にして 届けメロディ>という川谷の歌詞と、メロディアスなフレーズを弾き倒す休日課長のスライドベースが特徴的な同曲で会場を沸かせると、彼らは一転してアルバムのリードトラック「デジタルモグラ」でヒリヒリした空気を生み出す。さらにその後、疾走感のあるサビを持つ「crying march」で、ライブは中盤の山場を迎えた。

 同バンド恒例の「ドレスを?(課長)」「脱げー!(観客)」というコール&レスポンスで盛り上がった10曲目「ドレスを脱げ」が終了すると、アクシデントが発生。前日に購入し、この日は尖った音でライブを引き締めていた川谷の新ギターの弦が切れてしまったのだ。

 その間、ちゃんMARIが「コポゥ!」と「ヴァッ!」という掛け声で盛り上げ、課長は喉の奥から捻り出したように「ケチャップ」と奇声をあげると、いこかが課長に対し「気持ち悪っ」とドン引き。観客も恒例のこのやり取りに愛のある野次を飛ばした。その後、以前のギターに戻した川谷は、どこか安心したような表情で場を仕切り直し、ライブの定番曲「餅ガール」「jajaumasan」へ。恒例の餅撒きパフォーマンスや、キャッチーな掛け声を組み込んだ2曲で、少し緩くなっていた会場のテンションも一気に上がり、最後の「ユレルカレル」へ。切ない歌詞と性急なリズムが特徴の同曲で、ライブはクライマックスを迎えた。

 多様な音楽エッセンスを取り入れ、歌詞においてもパーソナルな一面を見せた『魅力がすごいよ』収録曲をセットリストに加えたことにより、これまで以上に緩急のついたライブを展開したゲスの極み乙女。。バンドへの注目度が高まる中、いよいよ本格的にJPOPシーンへと突入する彼らだが、その表現はさらにディープかつ複雑なものとなっている。そう感じさせる充実のライブだった。

(文=中村拓海)

■セットリスト
1.パラレルスペック
2.キラーボール
3.星降る夜に花束を
4.列車クラシックさん
5.猟奇的なキスを私にして
6.アソビ
7.ラスカ
8.デジタルモグラ
9.crying march
10.ドレスを脱げ
11.餅ガール
12.jajaumasan
13.ユレルカレル

■リリース情報
『魅力がすごいよ』
2014年10月29日(水)発売
【完全生産限定ゲスなトート盤】¥3,780(税込)

【初回限定魅力的なプライス盤 】¥2,300(税込)
【通常盤】¥3,024(税込)

<収録曲>
01.ラスカ
02.デジタルモグラ
03.crying march
04.星降る夜に花束を
05.列車クラシックさん
06.猟奇的なキスを私にして(ドラマ「アラサーちゃん 無修正」オープニングテーマ)
07.サリーマリー
08.ruins
09.アソビ (isai FL TV-CMソング)
10.光を忘れた
11.bye-bye 999

■ライブ情報
全国ワンマンツアー『ゲスな魅力?』

11月3日(月・祝)新潟LOTS
11月5日(水)仙台 Rensa
11月8日(土)札幌Sound lab moll
11月11日(火)長崎DRUM Be-7
11月13日(木)鹿児島CAPARVO HALL
11月14日(金)福岡DRUM LOGOS
11月16日(日),17日(月)広島CLUB QUATTRO
11月22日(土)名古屋CLUB QUATTRO
11月23日(日)大阪・梅田CLUB QUATTRO
11月25日(火)高松オリーブホール
11月29日(土)赤坂BLITZ
12月3日(水)札幌 Zepp Sapporo ※追加公演
12月7日(日) 豊洲PIT
12月9日(火)名古屋DIAMOND HALL
12月11日(木)大阪・味園ユニバース
12月13日(土)金沢EIGHT HALL
12月14日(日)松本Sound Hall a.C
12月20日(土)沖縄 音市場

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