ロック史に残るベーシスト、ジャック・ブルース追悼 “歌うベース”先駆者の功績とは

 ジャックのようなスタンスのベーシストは、日本にも少なくないと、同氏は続ける。

「ジャックのように一歩引いたところから楽曲とバンドアンサンブルを見る、プロデューサー的な立ち位置のベーシストには、日本だと佐久間正英氏や亀田誠治氏などが挙げられます。もしかしたら、ベーシストにはもともとプロデューサー気質の方が多いのかもしれません。また、ギブソンのベース、EB、特にSGシェイプのEB-3はジャックが流行らせました。なので、EB-3使ってるベーシストは大なり少なりジャックの影響を受けているといっても良いのかもしれません。佐藤研二(ex.マルコシアスバンプ)さんも『日本のジャック・ブルース』と呼ばれるほど彼を尊敬していることで知られており、そのプレイスタイルも踏襲しています」

 さらに、ジャックのスタイルを踏襲したベースは日本の音楽、こと歌謡曲にマッチしていると指摘する。

「リズムやアクセントなどを重視する海外の楽曲と比較した際に、日本の歌謡曲というものは、流暢であり、叙情的なリズムが多く、音符でも白玉を多用しています。そこで楽曲にどうしてもうねりが生まれるため、ジャックが得意としているような“歌うベース=歌と呼応するメロディ”が合うんです。ルートで弾くベースラインと違い、ジャックのベースは、歌に寄り添い、時に相反する裏メロの部分を弾いているともいえます。プレイヤーとしてだけでなく、ボーカリストとしても一流であるからこそのスタイルでしょう。歌心のあるベースです。ちなみに女性ボーカリストはベースの音を意識して歌うと歌いやすいそうです」

 ジャックが生み出した革新的な奏法は、これからも多くのプレイヤーの指針となりそうだ。

(文=編集部)

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