「“ネット発”みたいに十把一絡げにされてるのは面白くない」tofubeatsが明かす“発信を続ける理由”

「東京は才能がある“かもしれないもの”が早くに持ち上げられて、消費されていく」

――でも、ここまでの反応は予想できていなかった?

tofubeats:いえ、最初にMad Decentの担当であるポールの反応をみて、ああなるだろうなとはうっすら思ってました(笑)。あと、あの日は並びが良かったんです。同じビート感だけどウワモノは全然違うBenziと並べてくれたりしたのもまた良いように作用しましたね。聴いてる側からしたら、コンテクストがわかっても分からなくても面白かったでしょうし。個人出来には大ファンである某女優の声をいっぱい入れることができて満足です。

――時代背景もあるでしょうが、これまでとはまた違った角度、やり方で海外へのアプローチに次々と成功していますね。

tofubeats:そうですね。僕はbanvoxみたいにEDM一本槍でホームランを狙いに行くタイプではないので、少しずつ自分のやりたいことをわかってもらうというか、その説明をするために色々積み上げていっているのが功を奏したのかもしれません。

――すでに海外ではtofubeatsさんに影響を受けた海外クリエイターも出てきているとか。

tofubeats:実際、アメリカ人の子から「DTM何使ってるの?」ってメールが来ますよ。そういう時に本当に垣根とかはないんだなって実感します。Spazzkidのリミックスにデイダラスが普通に「いいよね!」ってコメントくれたりとかしたのを見ていると、普通に嬉しいし、時代の賜物というか、バイアスがないのは本当にいいなと思いますね。

――そんな世界展開も順調なtofubeatsさんですが、現在は神戸を拠点に活動されてますよね。普通のミュージシャンなら、メジャー1stアルバムも出たところですし、そろそろ上京…となるところだと思うのですが、あえて神戸に居続ける理由を教えてください。

tofubeats:実際には、やはりできないことも多いですが、YUKIさんのリミックス仕事も、神戸に居ながら普通にできていましたし、まだ「行かなくても大丈夫だろう」と思っています。メジャーデビューしたから東京に行かないといけないという感覚もよくわからないですし。会社員で、オフィスが東京にあって、そこでじゃないと働けない、というならわかるんですが、音楽は家に居れば作れますから。あと、何度も東京に通って思ったことがあるんですが、東京は褒められたり、持ち上げられるスピードが速い。才能がある“かもしれないもの”が早くに持ち上げられて、消費されていく。

 お客さんがどんどん増えていくのを見ながらライブをやってる人たちがいる一方で、僕らはただ同じことをやっていて、ある日突然人が来るようになる。前者は「音楽が上達した」というのに対して、こちらは「理解をしてもらえた」っていう感覚になるんですよね。特に東京はそういうところが見え易すぎるところだから、自分にとっては音楽を作るうえであんまりいい環境じゃないなと。

――過大評価というか先物買いというか。そういった方が多いということでしょうか。

tofubeats:端的に言うと褒められすぎるということで、しょうもないものでも褒めるというか、「ホントに良いと思ってるのかな」という疑問が出てくる。僕がやってる音楽にしても、「『良い』って言っておけばいい」みたいなのになってないかなって思いますし。単にあまのじゃくなだけなのかもしれないですけどね。

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