住岡梨奈、大原櫻子、桐嶋ノドカ……2014年後半注目の新進女性シンガーたち

デビュー前のドラマ主題歌起用が話題の桐嶋ノドカ

 桐嶋ノドカは、現在テレビ東京系で放送されているドラマ『ラスト・ドクター ~監察医アキタの検死報告~』の主題歌に、まだデビュー前ながら抜擢された女性シンガー。音楽配信サイト「OTOTOY」がいち早く彼女の才能に注目し、今年3月から独占で「ボーダーライン(DEMO ver.)」のフリーダウンロードをスタートしたところ、全く無名の新人にして約1ヶ月間で2,000DLを記録したことで話題になった。そこから『J-WAVE & Roppongi Hills presents TOKYO M.A.P.S』への出演や、ライブサーキット『SAKAE SP-RING 2014』での入場規制など、CD音源のリリースがないにもかかわらず、音楽ファンの間で徐々に話題になり、同ドラマの主題歌「Wahの歌」が急遽配信リリースされることになったという。

桐嶋ノドカ「Wahの歌」【MUSIC VIDEO(フルver.)】

 「Wahの歌」では柔らかく伸びのある声で、スケールの大きな楽曲をしっとり歌いあげているが、「ボーダーライン」では四つ打ちを取り入れたアップテンポのサビに対し、パワフルな声で熱唱。公開されている音源こそ少ないものの、多彩なボーカルワークが印象に残るシンガーといえる。

名門レーベルのオーディションを勝ち上がった新山詩織

 新山詩織は、2012年の春に、大手レコード会社のビーイングが主催するオーディション『Treasure Hunt ~ビーイングオーディション2012~」に『詩織』という名前で応募し、最終審査ではオリジナル曲の「だからさ」と、椎名林檎の「丸の内サディスティック」を弾き語りで披露。審査員の高評価を得てグランプリを受賞し、2013年の4月17日にシングル『ゆれるユレル』でメジャーデビュー。アーティストとしての実力は、サウンドプロデューサーの笹路正徳から「音楽が天職の人」と絶賛されている。

新山詩織「今 ここにいる」MV

 新山は今年の春に1stアルバム『しおり』をリリースし、通っていた高校を卒業。元来18歳ながらも大人っぽく色気や憂いのある歌声を披露してきた新山だが、これから年齢を重ねるにつれて、より陰影に富んだ歌声を聞かせてくれるのではないだろうか。

バンド解散、ソロに転向し露出増加の黒木渚

 「黒木渚」は、当初4人編成のバンドとして同名で活動していたが、2013年12月に「音楽は民主的に作るものではなく、もっと曲を作った人間がイニシアチブをとって曲作りしないと個性が薄れていく」といった理由からバンドを解散し、ボーカルの黒木渚がソロとして活動していくことを発表した。それ以降は、4月2日にソロ始動後初のフルアルバム『標本箱』をリリース、同作に収録されている「革命」が各地でパワープレイに決定するなど一気にファン層を拡大した。

黒木渚「革命」MV(short ver.)

 黒木の音楽性は、学生時代から愛好している村上春樹、江國香織、江戸川乱歩といった作家、また、サルバドール・ダリ、ルネ・マグリットといった画家から受けた影響が色濃く出ており、どこか文学に近い歌詞と、ソロワークに転向以降のストリングスを多用したアレンジで、自身の壮大な世界観を表現することに成功している。ZIP-FMの『黒木渚のNight Flight』など、レギュラー番組も決定しつつあるなか、各地の夏フェスに出演。現時点での知名度はさほど高くはないが、今後が楽しみなアーティストだ。

 以上、映画、テレビ出演、ドラマ主題歌、オーディション、バンドからの転向など、様々な形で飛躍が期待されるアーティストを紹介してきた。約半年後、誰がこのなかで一番ブレイクしているか、楽しみに見守りたい。

(文=向原康太)

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