嵐・大野智の歌がナチュラルに響く理由 心配性な少年はどう変わってきたか

 そんな大野の「変化」はパフォーマンス、例えば歌唱やダンスからも見て取れる。デビュー曲「A・RA・SHI」を聴くと、幾つかの箇所で少々ぎこちないビブラートがみられる。もちろん一般的なアイドルと比較すれば抜群に巧い歌唱なのだが、まだ技術を習得したてで自分のモノになりきっていない、やや肩肘が張った印象。同じことは初期のファルセットやフェイクでも言え、そのようなテクニックを使う前後で本人が「意識」しているのが聴いていてもわかる。

 ところが、昨年リリースされたアルバム『LOVE』収録の「hit the floor」などでの彼の歌は、そのような気配を微塵も感じさせない。一曲を通じてごく自然な流れで高度なテクニックを織り交ぜながら歌う。ファルセットやビブラートを過剰に意識させることなく、耳にすっと溶け込んで聴こえるのだ。難しい技術を自分のモノにするーー言葉にすると簡単だが、その陰には相当な努力があったに違いない。日頃のボイストレーニングや数々のコンサートを重ねることで、大野はパフォーマンスにおいても「自然体」で望めるようになったのだ。

 4月18日からは大野智が主演する ドラマ『死神くん』(テレビ朝日系)の放送がはじまる。きっと役者業においても、歌と同様に自然体で演じる姿をみせてくれるだろう。
(文=北濱信哉)

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる