宇多田ヒカル、ラジオ最終回で藤圭子とのデュエット曲オンエア「こういうのが残ってるのは素晴らしい」

 最終回である今回の冒頭で、番組が終わる経緯について説明した宇多田。番組を始めてちょうど一年で終わることは「区切りがいい」と思ったという。その後は宇多田が「これまでかけようと思って、大事に大事に温めていた曲」を中心に、“デュエット”というテーマに沿ったさまざまな楽曲について語られた。その中では1993年にリリースされた藤圭子と宇多田のデュエット曲、“藤圭子 WITH CUBIC U” の「GOLDEN ERA」も「こっぱずかしいんですけど」という前置きをした上で選曲。父親である宇多田照實も参加したというこの曲について「家族としてこういうのが残ってるというのは素晴らしいことですね、ありがたいです」と少し照れたような声で語り、この日何曲かセレクトされた、恋人や家族の間で制作されたデュエット曲の温かさについても触れた。番組の最後ではリスナーへの感謝とともに、「ラジオが放送されたあと一定期間ストリーミングで聞けるとか、日本の著作権の法律はややこしいんですけど、ポッドキャストにして曲もかけられるっていうポジティブな方向に進んでいくといいなと思っています」と、番組を通して感じた自身のラジオ観についても展開。「ラジオと現代の生活スタイルとか、他のメディアを繋げるような変化があればいいな」と締めくくった。

 音楽活動への復帰時期は今も明確ではない宇多田だが、今回の反響の大きさに、宇多田ヒカルの新しい音楽を待ち望むファンの多さが表れた形となった『KUMA POWER HOUR with Utada Hikaru』。日本ポップス史上最高のセールスとなる765万枚を売り上げた、あの『First Love』から15年の年月が経過しても、宇多田ヒカルというアーティストの求心力は衰えることを知らない。彼女自身が音楽を作りたいというタイミングで、音楽ファンの前に戻ってきてくれることを願ってやまない。
(文=岡野里衣子)

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