今年のフジロックはいつもと違う? カニエ・ウェストの出演発表に見る音楽シーンの変化

 また、今回のカニエ選出には、フジロックというイベント自体を刷新しようという試みもあると、柴氏は続ける。

「現在のフジロックを巡る状況として、リピーター的にフェスに訪れる『フジロッカー』の高年齢化が進みつつあるということは無視できないでしょう。もちろん『大人が楽しめるフェス』として成熟しつつあるという良い側面もあります。しかしその一方で『ロック好きの同窓会』的雰囲気を漂わせるほど、コミュニティが濃くなってしまっている面もある。それにより新しいリスナーが参入しにくくなっているとすれば、それはフジロックにとっても大きな課題でしょう。そういう意味で言えば、今回のカニエ・ウェストの出演は、新たな客層をフェスに呼びこむきっかけになる可能性がある。ロック方面からもリスペクトされていて、ヒップホップヘッズからも尊敬されているカニエの起用は、驚きもありますが、非常に効果的なのではないでしょうか」

 さらに、カニエがロック方面から評価されている理由については、次のように分析する。

「2010年の『マイ・ビューティフル・ダーク・ツイステッド・ファンタジー』は、カニエの評価を、さらに一つ上のステージに上げた決定的なアルバムでした。海外の音楽メディア『ピッチフォーク』でも10点満点を獲得したこのアルバムでは、キング・クリムゾンをサンプリングしたり、ボン・イヴェールをフィーチャリングに迎え入れるなど、旺盛な音楽的探究心でロックファンからも高い評価を集めました。ヒップホップアクトやラッパーとして彼をとらえると、いささか意外な感じもしますが、今のシーンの状況を考えると、彼のフジロック出演には、何よりワクワク感が大きいですね。何をしてくるかわからない人でもあり、当日のパフォーマンスも楽しみです」

 例年、そのラインナップの豪華さと幅広さで、熱狂的なファンを多く獲得しているフジロック。今後の出演者発表で、さらに音楽好きを唸らせてくれることを期待したい。
(文=編集部)
【出演アーティスト】
KANYE WEST
JACK JOHNSON

FRANZ FERDINAND
BASEMENT JAXX
MANIC STREET PREACHERS

THE BLOODY BEETROOTS LIVE / BOMBAY BICYCLE CLUB / CLAUDE VONSTROKE
DARKSIDE / DUBFIRE / FANFARE CIOCARLIA / GARLAND JEFFREYS
JOHN BUTLER TRIO / JONATHAN WILSON / JUNGLE / LONDON GRAMMAR / moe.
NARASIRATO / PARQUET COURTS / PHIL LESH & THE TERRAPIN FAMILY BAND
PRESERVATION HALL JAZZ BAND / THE QEMISTS / SBTRKT
THE SKATALITES / THE STRYPES
SYL JOHNSON, BOBBY RUSH & LAVELLE WHITE SOUL MUSIC LEGENDS
THE WATERBOYS

...etc
( アルファベット順 27アーティスト)

【入場券】
3日通し券 \44,000 → FRF'14先行期間特別価格\40,900
1日券 \18,300 → FRF'14先行期間特別価格\17,200
(各日共限定10,000 枚)
※JR越後湯沢駅から会場までの無料往復シャトルバスが利用可能
※小学生以下は保護者の同伴に限り入場無料
【駐車券】
\3,000(1日1台)
※2名より受付
※駐車券のみの受付は不可・入場券と併せて購入
【キャンプサイト券】
\3,000(1名/開催期間中有効)
キャンプサイト券のみの受付は不可、入場券と併せて購入
【ムーンキャラバン・チケット】
オートキャンプ施設「MOON CARAVAN」をご利用頂ける専用のチケット
専用駐車券\12,000(1台)+専用キャンプサイト券\3,000(1名様)+ 3日通し券\40,900(1名様・先行期間特別価格)
※2名より受付
※専用の駐車券と専用のキャンプサイト券に入場券を併せたセット販売
※単体での取り扱いは無し

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