解散宣言したBiSの“お騒がせ”の軌跡 「素人以下」と言われた少女たちはどう奮闘したか

 メジャーデビュー後も、Yahooオークションにメンバー自身が「3時間あなたの家で家政婦します」と出品されたり、AV風のMV「DiE」を発表するなど、そのスタンスがブレなかったBiS。だが、音楽業界での評価は着実に高まっていった。BiSの映像コンテンツに携わる、スペースシャワーTVの映像プロデューサー・高根順次氏は、BiSの魅力を次のように語っている。

「BiSの活動はただセンセーショナルなだけではなく、批評性を帯びている部分が面白いと思います。たとえばファースト・アルバムの題名は『IDOL is DEAD』で、彼女たちの活動を象徴的に表しており『そもそもアイドルってなんなんだろう』と考えさせられるものがあります。いっぽうで楽曲の歌詞には、たとえ笑われても自分たちが革命を起こすんだ、といった、今どきロックバンドにもないようなメッセージ性が込められていたりします。私自身はBiSが主人公の下ネタアニメ『バックステージ・アイドルストーリー』のあたりから彼女たちに関わり、その内情を垣間みたのですが、彼女たちの活動には『自分たちでもどうなるかわからない』というある種のリアリティがありました。運営側もまた、すべてをコントロールしているわけではなく、予定調和というものがないグループでもありました。だからこそ、多くのひとが引き込まれていったのではないでしょうか」

 BiS階段のアルバム『BiS階段』は2013年の12月、アメリカの大手音楽雑誌、SPIN誌が選ぶ2013年度アヴァンギャルドベストアルバム7位に選ばれるなど、日本のアイドルグループとしては快挙と呼べる結果を残した。現在のBiSの状況には、マネージャーの渡辺氏も驚きを隠せない。

「正直、メジャーデビューすら考えていなかったグループなので、こんな規模になるとは思いませんでした。きっと多くのひとが同じように思っているのではないでしょうか。ただ、横浜アリーナに関しては、多くのファンが応援してくれていると思いますが、実際に埋まるとは考えていないと思います。以前に国技館でライブをやったときも、2階は全部空席でした。でも、今度の横浜アリーナは頑張って客席を埋めたいと思います。大人数で最後のお祭りができたら良いですね」

 解散ライブで、あえて無謀ともいえるキャパシティの会場を選んだBiS。その攻めの姿勢は、最後まで続くようだ。
(文=編集部)

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