「DJという職種は遊びの延長じゃない」 DJ HAZIMEが9年ぶりのアルバムで問いかけるもの

――前作に引き続き、新作もメジャーからのリリースとなりますが、HAZIMEさんの見解ではどのような点でメリットがあると感じていますか?

DJ HAZIME:はっきり言って、9年前の“DJ HAZIME”のことを知っている人は少ないと思うし、クラブでDJだけをやっていても知名度を上げるには限界がある。そういった意味でオフィシャルの作品をリリースするという行為は絶対的に必要だと思うんです。それはDJ HAZIMEというDJを知ってもらうメリットであり、DJという職種の認知度アップにもつながり、さらにクラブという場所に足を運んでもらえる大きなきっかけにもなると思うので。

――DJの存在意義、ですね。

DJ HAZIME:どの仕事にも言えると思うんですけど、野心を持っていたら誰しもがトップを狙いたいと思うはずなんですよ。昔と比較したらDJの絶対数は確実に増えているけど、本当にみんなトップを狙っているのかな? と思うことがある。「だったら何をすればトップになれるのか?」という疑問が出てくるかもしれないけど、「ここまでやらないと俺のようには一生なれないよ」という背中は見せたいんです。正直、DJという職種が遊びの延長だと思われるのはうんざりなんですよ。「音楽が好きなので、こうして続けられることができて満足です!」という建前はいいんです。風営法問題などもあるけど、DJは仕事として認められるべきだと思うし、いちから説明するのは大変ですが、「ディスコでキュキュキュでしょ?」はいい加減卒業したい。自分がDJを続けること、作品をリリースするということは、そのイメージの払拭であり、なりたい自分にどれだけ近づくことができるか? の挑戦でもあるんです。

――そういった思いをレーベルと共有し、こうしてリリースできたことは、HAZIMEさんにとって大きなステップにつながったんじゃないですか?

DJ HAZIME:DJのスタンスはある日突然変わるものなんですよ。ただ、そのイメージするものを誰と共有するかが大事であって、今回の場合、俺はそのイメージをレーベルのスタッフと共有することができたんです。トラック・メイカー然り、若手のラッパーと一緒に仕事をすることによって、「日本語ラップはまだまだ捨てたものじゃない」と心から思えたし、本当にアルバム制作そのものが楽しかった。DJという職業上、クラブ・ヒットを望むのは当然のことだけど、クラブでもプレイすることができて、家でもなんの気なしに聴くことができる曲も重要な時代になってきてると思う。それと、これまでの固定観念も捨てて、メディア・プロモーションのやり方も模索していかなければいけない時代になってきているし、課題はたくさんあると感じてはいますけどね。

――『AIN'T NO STOPPIN' THE DJ Vol.3』のリリースに至るまでには、それほど時間は費やさずに済みそうな勢いですね。

DJ HAZIME:今作の場合、半数は既発曲でありましたが、次作はいちからアルバムを視野に入れた作品にしたいと思っています。とはいえ、まだ二作目がリリースされたばかりなので、まずは今作の動きをじっくり見てから、ですね。端から見たらどう思われているかわからないけど、これからも音楽とは謙虚に向かい合っていきたいと思っています。

(取材・文=佐藤公郎)

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