ピーター・バラカンが語る、インターFM の音楽重視改革「僕らはリスナーのためにラジオを作る」

ピーター・バラカン
イギリス出身のピーター氏は、時代や地域にとらわれず、良質な音楽を広く紹介してきた。

――具体的に取り組んだことについて教えて頂けますか。

ピーター:例えば僕は当たり前のことだと思ってるんだけど、途中でフェイドアウトせずどの曲も最後までかける。もっと曲を大事にしようと話しました。また情報をたくさん伝えようとせず、できるだけゆったりと展開できる番組をつくろうという意向もありました。だから30分番組はやめるようにした。編成面でいうと番組の流れはかなり意識しています。朝から聴いていたら次の番組、また次の番組と聴きたくなるような、流れを大切にしたタイムテーブル作りには苦労しました。」

――他にも苦労していることはありますか?

ピーター:インターFMは民間放送だからどうしてもスポンサーからの収入が必要。スポンサーがたくさんついてお金が潤沢になれば、今考えているやりたいことが全部できるかもしれない。だけど現状はそこまで至っていないのも事実。本音を言えばコマーシャルなことをなにも考えずに本当に聴かせたいと思う曲、他のどの放送局でもかかっていないような曲でも何のプレッシャーも受けずにのびのびとかけられるようにしていきたいんです。

――ラジオも他のマスメディア同様、広告収入の苦戦が伝えられています。

ピーター:だけどラジオはテレビみたいに「マス」――大多数を追い求める必要はない。ラジオはもっとニッチな媒体でいいと思うし、自分たちのやりたいことと支えるためにどれくらいのお金が必要かバランスをとれるようにすればいい。ラジオの魅力はDJとリスナーに距離がないこと。一対一の価値がとても高いメディアだから、送り手都合のことは全部リスナーにバレてしまう。だから何者にも媚びていない空気をどうやって作っていくかがとて重要。営業と編成のバランスは正直難しい課題ですが、では誰のために番組を作っているかと言えば、やっぱり僕らはリスナーのためにラジオを作っているんです。
(後編に続く)
(取材・文=北濱信哉/撮影=金子山)

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