FMラジオから歌が消えた? 音楽よりもトークが多く放送されるようになったワケ

 また、広告売上の不振は別の形でもFM局の編成に影響を与えている。前述のラジオ関係者は言う。

「ラジオ広告にはスポット広告の他にタイム広告、すなわちスポンサー提供のいわゆる冠モノがあります。タイム広告のスポンサー企業は当然、自社の製品やサービスを番組内で紹介したい。しかし音楽番組ではその余地が非常に少ないのです。一方でトーク番組なら会話の中に自然な形で宣伝を織り交ぜることができます」

 広告収入が低迷するなか、スポンサー企業の獲得はラジオ局にとって至上命題。そのためにもクライアント受けのいい「スポンサーに寄り添った形」のトーク番組が量産されるようになったのである。

 音楽やメディアを取り巻く環境の変化にともない、その在り方を変えようとしているFMラジオ。とはいえ、未だFMラジオにとって音楽はなくてはならないもの、媒体の顔であることには変わりがない。現状では各局とも試行錯誤を繰り返している段階だが、その中から上手いバランスでトークと音楽を融合させた、新しい形の魅力的な番組が現れてくることに期待したい。

(文=北濱信哉)

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