AKBフォーマットを離れた「恋するフォーチュンクッキー」は、歌い継がれる名曲となれるか

 実は2008年の「大声ダイヤモンド」以前のシングル曲はすべて劇場公演に組み込まれていたが、AKBのブレイク以降、シングルのリリースペースは加速しAKBフォーマットの楽曲が量産されると同時に、劇場公演にシングル曲が組み込まれることはなくなった。それは、オールタイムベストとなりうる曲でなければ劇場公演に組み込むことが難しいことの証明であろう。ならば、新公演ラッシュを迎えるにあたり、シングル楽曲の方向性を徐々に移行して、世代を問わないスタンダード性が強い劇場公演に組み込める楽曲を、という運営方針に変更されたと推測できる。

 それを見据えて作られたと考えれば、今年発表された「So Long!」「さよならクロール」がここ数年の同時期の楽曲と比べて多少地味な印象を受けることも納得できる。もちろん劇場公演には現在のAKBファンが盛り上がる"AKBフォーマット"楽曲ももちろん必要だが、今までのシングルでストックは十分である。結果的にオールタイムベスト楽曲を生み出すためにAKBが挑戦するこれから先の「未来はそんな悪くない」のではないだろうか。

■エドボル
放送作家。『妄想科学デパートAKIBANOISE』(TOKYO FM水曜25:00-)『安田大サーカスクロちゃんのIdol St@tion』(目黒FM隔週木20:00-)、『Tokyo Idol Festival2013』(フジテレビNEXT)など、テレビ・ラジオなどの構成を担当。サイゾー、SPA!などでもアイドル関連のインタビューを中心に執筆中。

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