トム・ヨークのSpotify批判は妥当か? 世界中のミュージシャンが激論中

20130725spotify2.jpgレディオヘッド『In Rainbows』(Xl)ジャケット画像

 こうしたトム・ヨークの発言に対してはミュージシャンの賛同が集める一方、反論の声も多く上がっている。ブラーやザ・スミスのプロデューサーで知られるスティーヴン・ストリートは自身のTwitterで、2007年にレディオヘッドが発表したアルバム『In Rainbows』の、価格を購入者が決めるダウンロード販売という特殊な販売方法こそがデジタル音源の低価格化を招いたとし、「Spotifyが新人アーティストのためにならないなんてトム・ヨークが言うなんて、ちゃんちゃらおかしいね」「(『In Rainbows』は)音楽には対価を支払う価値がないって間違ったメッセージを広げちゃったんだ。しっぺ返しを食らったな、トム!」とトム・ヨークの意識の高いツイートにツッコミを入れている。

 Spotifyに代表される新興の音楽ストリーミングサービスが、ミュージシャンの活動を金銭的にサポートできるたけの報酬を支払うことができるかは、まだまだ未知数だ。しかし、Spotify側はストリーミングサービスの存在が、違法ダウンロードなどに対する有効な対抗措置だと主張する。実際、ノルウェーで行われたipsosの調査によると、Spotifyなどの音楽ストリーミングサービスの普及によって、2008年から2012年の間にテレビ番組、DVD、音楽などのコンテンツの違法ダウンロードは5分の1の規模にまで縮小している。デジタル音楽が市場全体の約80%を占める同国では、音楽ストリーミングサービスが急成長を遂げたことで、2013年上半期における音楽売上は、昨年同時期比で17%増と好調だ。

 トム・ヨークのツイートがいくら炎上しようとも、Spotifyが未だサービス提供されていない日本では彼岸の火事……であることが何より悲しいけれど、新しいテクノロジーが普及する中で、良質な音楽を提供し続けることができるエコシステムをいかに再構築するかは、現代の音楽ファンにとって無関係ではいられない問題である。音楽ファンにも、トム・ヨークに負けないほどの意識の高さが求められている。

■大山貴弘
ライター/編集者。雑誌出版社、制作プロダクションを経て、2005年よりフリーライターとして活動。邦楽ロック、エンタープライズITなどを中心に、雑誌やWebメディア、機関誌などで取材・ライティングを手掛ける。

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