TVドラマで注目浴びる、脚本家のSNS展開 作り手と視聴者の密なつながりは何を生む?

 賛否が分かれているのが、朝ドラ『半分、青い。』(NHK)の脚本家・北川悦吏子だろう。

 北村も各話について毎回、語っており、「〜話は神回」と積極的に発信している。作り手自ら神回と言って、作品の意図について解説してしまう北川のスタンスは、時に作品の見方を限定してしまうため、反発も多い。連続ドラマでは出演俳優が副音声でオーディオコメンタリーを行うケースが増えているが、北川のやっていることは、テキストで行うオーディオ・コメンタリーみたいなものだ。

 元々北川は2010年に執筆した連続ドラマ『素直になれなくて』(フジテレビ系)にTwitterを登場させて、自身もその時期からTwitterを使用していた。ただ、その時のTwitterの描かれ方はメールのような感じで、あまりドラマ内で活かせていなかった。

 今回の『半分、青い。』は現在の舞台が2000年であるため、Twitterはまだ登場していないが、物語の進め方がSNSで朝ドラについてつぶやいている視聴者のツッコミ目線みたいなものをかなり先取りしており、時に乗っかり、時に裏をかいたりしているように見えて、作品を通してコミュニケーションをとっているように見える。

 2010年の『ゲゲゲの女房』以降、朝ドラはSNSで熱心に語られるようになっていく。当時はあくまで視聴者の側が勝手に盛り上がっていると言う感じで、どう見られているのか? と言うことや、それを利用して番組を盛り上げようという意識は作り手の側にはなかった。

 しかし近年は視聴者の動向に対する分析がだいぶ進んだこともあるためか、その消費行動を先回りして作品が作られるようになってきている。つまり視聴者のお祭りに作り手自身が参加して盛り上がってしまうのだ。

 それを面白いと思うか、しらけてしまうかは人それぞれだろうが、個人的には解釈の幅を狭められるような息苦しさを感じる。もっともこれはSNS全般に感じることで、意見が可視化されるため、例えばドラマ内のある台詞があると、その賛否の割合がある程度みえてしまう。そうなると無意識に忖度してしまい、全体の意見に引っ張られてしまう。それが嫌なので、作り手の意見はできるだけリアルタイムでは見ないようにしている。

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