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“ゲームオーバー”が存在しないゲーム『ライフ イズ ストレンジ ビフォア ザ ストーム』が描く人生

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「『Life is Strange:Before The Storm』はあなたの行動や選択次第で周りの状況が変わります。慎重に選びましょう……」

 ゲームスタート直前、真っ黒の背景に白のちぢこまったフォントの字でそうつづられた画を見せられる。それは、後に、プレイヤーにとっての呪いの言葉にもなるのがわかる。

『ライフ イズ ストレンジ ビフォア ザ ストーム – PS4』

 『ライフ イズ ストレンジ ビフォア ザ ストーム』は、前作『ライフ イズ ストレンジ』のプリクエル作品。タイムループ能力を持ったマックスではなく、親友のクロエが主人公にすえられている。実の父を亡くして以来、母親と新たな彼氏との関係性をうとましく思い、何もかもに嫌気がさしていたクロエ。学校はサボり気味で、酒とタバコとドラッグにおぼれている。だが、社交的で仲間との人間関係は築いていける。彼女と、秀才で学園の演劇では主演をはるレイチェルとでつむぐ切ない青春アドベンチャーが本作だ。

 舞台は前作と同じくオレゴン州のアルカディア・ベイ。時系列としては前作の3年前。キャラクターは前作で登場した顔ぶれも見られる。世界を共有する以外にも、現実的空間での“探索”の楽しみ、切ない青春物語などは共通する。行動や言動の選択でストーリーを組みかえられる点も共通するが、選択の意味合いはゲームシステム上、前作とは大きく異なる。

 アドベンチャーゲームは、“探索”こそが醍醐味だ。「主人公が、どのようなミッションを、どういった順序でこなすべきか」探りを入れながらストーリーを進める。そのプロセスは、必ずしも最短ルートがベストとは限らない。むしろ、寄り道しながら進める方が楽しいのだ。ストーリーに関係のない物質を調べたり、無関係なキャラクターに話しかけたり、最短で進めるには適切ではない選択肢を選んだりすることで、作品世界にどっぷりつかれる。現実世界と近い世界観の本作。たとえば、レイチェルからベルトを取ってきてほしいと頼まれた場合、壁に貼られたポスターをチェックしたり、そこに落書きしたりして、あえて遠回りをするプレイもしたくなる。

 前作ではタイムループが使えたことから、相手に何かしゃべらせたり行動させたりした後、時間を戻し、あたかも、予知行動・言動をとるようなことで、時間がまっすぐ進むのとは異なったルートをゆくこともできた。たとえば、ダイナーでたむろしているドラッグディーラーから車のカギを奪ったとき、そのままでは取り返されてストーリーは進むが、奪った直後まで時間を戻すことで、取り返されることなく進められる。

 また、思春期特有の移ろいやすい心情を持った少女が、親友とともに様々な体験を通じ、内面を変化させていくドラマも魅力的。ことあるごとに登場する選択肢をプレイヤーが選び、キャラクターを息づかせる。プレイヤーは、彼女たちの運命を決定づける存在でありながら、作品世界に片足を突っ込んだ状態でもある。そのため、特にメインキャラクターの歩むストーリーには他人事ではいられなくなる。

 しかし、本作には、タイムループ設定がない。代わりに、バックトークという機能が採用されている。これは、言い争いや挑発をする選択肢がもうけられ、こちらの有利になるよう相手を誘導するシステム。パンキッシュな見た目で、ストリートワイズに長けていそうな雰囲気をまとうクロエらしく、キャラクターに合った特性と言える。

      

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