ゲーム黎明期を支えたレトロハードの復活なるかーーインテレビジョンの発売権利を海外作曲家が取得

 1980年に誕生した家庭用ゲーム機『インテレビジョン』(Intellivision)。その販売権利を、アメリカ人音楽家のTommy Tallarico氏が取得していたことが明らかになった。

 Tallarico氏は数多くのゲーム音楽を手がけながら、オーケストラグループ・Video Games Liveを率いて定期的に大規模な演奏会を開いていることでも有名なアーティストだ。兄弟や両親と共にインテレビジョンに興じた幼少期の体験やゲームへの思いが積み重なり、現在は新たに立ち上げたIntellivision Entertainmentで、当時の開発メンバーと共に新型インテレビジョンの設計作業に勤しんでいる。現時点で判明しているのは、新型インテレビジョンがWi-Fi接続機能を有し、専用ストアからダウンロードしたゲーム作品をSDメモリーカードに保存可能といった仕様のみ。本体価格や正式な発売日、スペック等は現時点で不明だが、2018年10月1日に詳細な情報が発表される模様だ。

 また今回なぜインテレビジョンを開発するに至ったかという質問に対し、Tallarico氏はGamesBeatのインタビューにて、「家庭内におけるゲーム市場に注目している」として、「老若男女問わず様々なユーザー層が一緒にゲームで遊び、楽しい空間を共有できるようなコンソールを届けたい」と語った。競争戦略面では「任天堂やソニー、マイクロソフトといったプラットフォーマーと争うつもりはない」とし、あくまでも家族で楽しめるゲーム機としての市場価値を追求するようだ。インテレビジョン自体が38年前に登場したハードということで、氏は「インテレビジョンの存在を現代の若者にも知らせるため、21世紀に復活させたい」と締めくくった。

ゲーム黎明期の名ハード『インテレビジョン』とは

 アメリカのマテル社が1980年に開発したインテレビジョンは、家庭用ゲーム機では初めて16ビットCPUを採用した意欲的なハードであった。木目調のパネルを配した本体デザインと、前面にテンキーと円形状のパッドが組み込まれたコントローラーが特徴的だ。日本でよく知られている『スーパーファミコン』や『メガドライブ』といった16ビット機より約10年ほど早く生まれた本機は、既にアメリカで普及していたAtari2600がトップに居座るゲーム市場へ参戦することになる。

 1982年になると、流通権利を取得したバンダイによって日本国内でも発売。しかし高価な本体価格がネックとなり、翌83年に登場するゲームハード『アルカディア』にとって変わられる形で市場から姿を消す。このように日本での普及は芳しくなかったインテレビジョンだが、1980年代当時としては先進的なゲーム作品のダウンロード配信サービスを提供するなど、主戦場である北米では売れ行きも好調。1982年の北米ゲーム市場縮小、俗にいうアタリショックを危うくも乗り越え、最終的に1991年時点で本体販売台数300万を記録した。

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