Nintendo Laboに見た、ハードウェアメーカーの矜持ーー任天堂の挑戦をさやわか氏が分析

Nintendo LABO、任天堂の矜持

 この点は、際立った表現を子供向けの枠内に入れ、広く届けてきたディズニーに近いように思う。乱暴に言ってしまえば、任天堂は『コール オブ デューティ』のような尖ったゲームを子供にもプレイさせるため、「イカがインクを撒き散らす」という設定を作り上げたのだ。ハードウェアにおいても、「標準化」を避ければ、ゲーマーにとってはプレイにストレスがかかることもあるが、逆に最大公約数を狙う上では、それまでの「標準」をリセットすることで、非ゲーマーの参入を促す効果もある。

 マリオシリーズの「はてなブロック」が象徴的だが、任天堂は、明らかに触ったら何かが起きる、という予感に満ちたハードウェアと、その反応の面白さを追求している。冒頭のように、現在のゲームシーンとのジレンマも感じるところだが、『Nintendo Labo』にその矜持を見た思いがした。(談)

■さやわか
ライター、評論家。『クイック・ジャパン』『ユリイカ』などで執筆。『朝日新聞』『ゲームラボ』などで連載。著書に『僕たちのゲーム史』『文学としてのドラゴンクエスト』など。漫画原作に『キューティーミューティー』がある。

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