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吉本興業のeスポーツ事業参入で考える、「プロゲーマー」のダイバーシティー

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 吉本興業が3月7日、都内で記者発表会を行い、今後注力していくというeスポーツ事業の詳細を明らかにした。同社は今後、プロeスポーツチーム「よしもとゲーミング」を運営するほか、タレントマネジメント事業のノウハウを活かし、ゲーム実況に特化したタレントの育成も行っていくという。『Dota2』、『オーバーウォッチ』、『シャドウバース』、『ポッ拳 』と、プロチームが注力するタイトルも発表されている。

 会見には“ゲーム好き芸人”として、次長課長・井上聡、トータルテンボス・藤田憲右、しずる・池田一真、パンサー・菅良太郎が登壇。司会はロンドンブーツ1号2号・田村淳と、豪華な内容になった。同時に、初の吉本興業所属プロゲーマーとなったジョビン、西澤佑太郎、小池龍馬の3人が登場。特に目立ったのは、NSC大阪校27期生で、格闘家としても実績があるジョビンだ。

右からジョビン、小池龍馬、西澤佑太郎

 会見の中盤、「プロゲーマーの実力を体験してみよう」と題した企画で、井上とジョビンが『ストリートファイターV』で対決。初戦はジョビンの圧勝だったが、「目隠ししてでも勝てますよ!」と調子に乗り、結果、さすがに何もできずに負けて笑いを誘った。

 ジョビンは格闘ゲーム好きには、それなりに知られたプレイヤーだ。『ストリートファイターIV』シリーズでは強豪リュウ使いとして、大会や配信番組によく顔を出していた。格ゲー界のレジェンド=梅原大吾を敬愛しており、ガチ対戦を挑んだ結果の敗北で、一時、活字にするのは憚られるプレイヤーネームに改名したことも、ゲーマーたちの話の種になった。つまり、「圧倒的な実力者」というより「ネタキャラ/愛されキャラ」の側面が強く、そんな彼が「プロゲーマー」になったことを感慨深く感じる格ゲーファンも少なくないだろう。

 「プロゲーマー」の役割と何なのかーーそれは梅原大吾をはじめ、当のプロゲーマー自身が考え、模索し続けてきたことだ。フィジカルなスポーツであれば、プロ選手はアマチュアに比べて圧倒的な実力を持っているのが一般的だが、ゲームにおいてはネットを通じて「攻略情報」が瞬時に共有される時代、トップ層のレベルは均衡していることが多く、プロゲーマーがアマチュアプレイヤーに負けることは珍しくない。当初はそのことに対する批判も少なくなかったが、徐々に、単純なプレイスキルだけでなく、ファンを魅了する人間性やトーク力、ライト層にゲームの魅力を伝える力、観客/視聴者がより深い視点でゲームを楽しめるよう誘う解説力など、さまざまな力が評価されるようになってきた。

 梅原や、昨年、世界最大規模の格闘ゲーム大会「EVO 2107」で優勝した東大卒プロゲーマー・ときど、Red Bullにスポンサードを受けるボンちゃんなど、ジムで体を鍛えるプレイヤーも多いが、大会を戦い抜くための体力/集中力を高める、というのは目的の一部。本人たちが語ってきたところによると、「ゲームの地位向上」のため、という意味合いも大きいようだ。つまり、必ずしも世間的なイメージがいいとは言えない「ゲーマー」を代表する上で、だらしなく思われるような姿ではいけない、と考えた結果の取り組みでもある。

 前例のないなかでの暗中模索で、築き上げられてきた「プロゲーマー」という仕事。そのタレント性にフォーカスしながら、「世界一を目指していく」とする吉本興業の取り組みは、プロゲーマーのダイバーシティーを高め、より一般的な存在にしていく可能性もあるだろう。特にアーケードの格闘ゲームシーンには、プロレス的な“煽り合い”の文化もあり、ネット配信で多くの視聴者を笑わせているプレイヤーも少なくない。さらに「おもろいプロゲーマー」が登場することに期待たいところだ。

(橋川良寛)

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